2022 Fiscal Year Research-status Report
障害青年の教育をいかに保障するか-学校と社会・就労を架橋するカリキュラムの構築-
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21K02164
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
谷 雅泰 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (80261717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 純一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10723538)
青木 真理 福島大学, 人間発達文化学類附属学校臨床支援センター, 教授 (50263877)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害青年 / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害青年の教育を保障するために、日本と世界で学校と社会・就労を架橋するカリキュラムがどのように構築されているかについて、調査を行った。 まず日本では、該当する教育機関が次々に生まれている。コロナ禍の影響もあり、首都圏や神戸、和歌山、北九州などの先駆的な機関についての調査は文献等で行うこととし、研究グループのある福島市内での調査を行うこととした。同じような性格の3つの機関について訪問して調査を行った結果、行政による支援という点では同じ仕組みを利用しているものの、カリキュラムの内容については、自己実現を中心目標に置くタイプ、一般就労を強く意識したタイプ、またその中間の、就労を最終目標としながら、カリキュラムそのものを充実したものにしたいタイプに分けられ、その違いが案外大きいことが分かった。障害の個性が多様であることからすれば、当然のことであるようにも思われるが、入口で接続する学校、出口で接続する社会や職場の側からみると、その違いは大きく感じられるのではないか。それがどのようにカリキュラムに影響を与えるのかについても調査が必要である。 次に、本研究が対象としているデンマークについては、コロナ禍により現地での調査ができなかったが、代替として、現地の協力者へのオンラインインタビューを行った。若者支援センターのセンター長を務めていた人物であり、センターが改組されてKUIという組織になって以降のことを尋ねたが、ワンストップの若者支援組織を作るという当初の目的などはそれほどうまくいっていないように見受けられた。それがどうしてなのか、今後の研究で明らかにしたい。 また、デンマークなどと違うタイプとして、台湾は障害青年の大学の学びにこだわり、それも特別なコースではなく学士号を授与していることがわかった。その背景には保護者団体の活動があるということであり、これについても今後調査したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、計画の段階で予定していた出張調査(海外、首都圏、和歌山、神戸、北九州)については全く実施できず、かわりにオンラインによるインタビューや講演聴取をデンマークと東京との間で行った。福島市内での調査については、この間、類似の組織が多く発足したこともあり、予想外に進展している。 出張にかかる予算については繰越しているが、特に海外出張について、コロナ禍に加え、航空機関連費用の高騰、円安により、今後も効果的な運用を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの世界的な収束により、デンマークでの調査が可能になったので、9月に現地調査を行うこととし、現地での訪問先へのアポイントメントなどを取り始めている。具体的には、これまでは視野に入っていなかったが、台湾の事例や、障害者権利条約による勧告の内容も踏まえて、障害者の保護者団体、当事者団体、その一つであると思われるDAIPAを訪問調査する予定である。次に、国民学校改革と併せて設置された職業10年生学校、障害者の就労の場であるグレンデスミンネ、また若者支援センターの後継KUIの団体が改組されているのでその組織に行く予定である。 次に日本については、福島市ですでにコンタクトをとっている3組織については継続的に訪問し、比較していく。それぞれニーズがあって作られている組織なので、比較するのはそれぞれの特徴を見出すためである。また、首都圏で飛躍的な発展を遂げている同様の団体について、本科研研究の当初から連絡を取っていたがまだオンラインでの講演しか聞けていないので、現地訪問を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外出張の実施が不可能であったため。
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