2021 Fiscal Year Research-status Report
教師の発達的変容と教育実践をめぐる関係性の動態的記述
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21K02174
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
國崎 大恩 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (90756313)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教師の発達的変容 / 関係論的視座 / プラグマティズム / デューイ思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、養成段階から初任段階の学生・教員を対象に、教師の発達を関係論的視座から捉え直し、その非連続な発達的変容を明らかにすることを目的としている。具体的には、①学生や教師が自らを取りまく学校内外での雑多で多層的な関係性を自らの実践といかに関係づけ、またそのことによっていかなる発達的変容を遂げていくのを明らかにするとともに、②その変容のあり方が養成段階と初任段階との間でどのように異なるのかを明らかにすることをめざしている。 2021年度は、本研究の開始年度ということもあり、本研究の方法論である「教育実践を関係論的視座から記述・分析すること」の理論的意義を中心的に明らかにした。 例えば、「教育実践を関係論的視座から記述・分析すること」は、子どもの活動や教育の自由といった「新教育の遺産」から学びつつ「学ぶ・教えるとはどういうことか」について答えを出すという、教育思想(史)研究においてプラグマティズムの思想史がもちうる一つの可能性であることを明らかにした(「「新教育の彼方へ」のあとで―自然主義と反自然主義、あるいは多自然主義の教育思想 ―」『近代教育フォーラム』30号、90-96頁)。 また、「教育実践を関係論的視座から記述・分析すること」の理論的源泉の一つをデューイ思想に見出し、その理論的構造の端緒を明らかにするとともに(「「心理学における反射弧概念」の記号論的考察」『福井県立大学論集』57号、11-21頁)、その思想史的・教育的意義を知識伝達という観点から整理した(「知識が伝わるとはどういうことか」『実践につながる教育原理』152-168頁)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、教師の非連続な発達的変容を明らかにするべく、教師の発達的変容に関して量的・質的研究を行うものである。2021年度は新型コロナウィルス感染症の影響により、学校現場において十分なフィールドワークを行うことはできなかった。他方で、本研究の理論的意義については検討ができ、その成果は2022年度以降のフィールド研究に十分活かすことができるものである。 以上のことより、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響も少なくなってきたことから、今後は学校現場でのフィールドワークもできる限り多く行い、研究をすすめていく。 また、教師の発達的変容に関する理論モデルの構築にむけて、理論的成果と実践的成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、当初計画をしていた学校現場でのフィールドワークを行うことができず、それに関連する調査・分析及び成果発表が十分にできなかったため支出額が計画よりも下回った。次年度は新型コロナウィルス感染症の影響も少なくなり、学校現場でのフィールドワークも十分に行うことが予想できるため、未実施分のフィールドワークも含めて次年度では調査・分析・成果発表を行う。
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Research Products
(3 results)