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2022 Fiscal Year Research-status Report

エビデンスに基づく政策(EBP)に対する社会進化論からの検討

Research Project

Project/Area Number 21K02188
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

桐村 豪文  弘前大学, 教育学部, 准教授 (00637613)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywordsエビデンスに基づく政策と実践 / INUS / 文脈 / 価値判断 / データ / 学校改善 / 専門職の学習共同体
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、これまでの研究を以下2つの論文にまとめ、発表した。
桐村豪文「エビデンスに基づく政策と実践をめぐる「より柔軟」な理論的アプローチ―ローカルな価値判断の必要性―」『教育学研究(日本教育学会機関誌)』90(1) 2023年(印刷中)
エビデンスに基づく政策と実践(EBP)をめぐって対立する立場の全体像を、「硬い心」の立場と「軟らかい心」の立場を両極にもつ連続体として描く考えを提示し、特にその連続体の中間に位置する「より柔軟」な立場に着目して、EBPの実像を論じた。すなわち、因果関係の概念をINUS条件として捉え、ローカルな文脈を重視するアプローチを展開しながらも、結局のところ不確実性の問題に直面し、価値判断の必要性に回帰せざるをえない。EBPは、政策決定の過程から価値判断をすべて除去することはできないのである。
桐村豪文「学校における効果的なデータ活用の探究―諸外国の事例を踏まえた考察―『日本教育経営学会紀要』第65号、2023年(印刷中)
教育改善の手段としてデータを活用することは、米国をはじめ多くの国々で重視されている。我が国でもデジタル化に伴いデータ活用には大きな期待が寄せられているものの学術的には黎明期の段階になおあるように思われる。データ活用には、その目的(学校改善かアカウンタビリティか)において緊張関係がある。データ活用が学校改善に資するためには、手段的活用や概念的活用といったタイプのデータ活用が求められる。また、意思決定の基盤に何を求めるか(データか直感か)においても緊張関係がある。ベルギーでは、教師の専門職性が重視される中でデータ活用が拒絶され、直感による判断が優先されることがある。そこで本稿が着目したのが、オランダで開発されたデータチームのアプローチである。これは、専門職の学習共同体としての特徴を持ち、また会話に探究の深さを求める点で専門職性を深めることができるアプローチである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでの研究を全国誌の論文として発表することができた。

Strategy for Future Research Activity

EBPに関する(推進派の)取組や研究について、科学哲学の知見を用いて、批判的に論じることができた。ただし、そもそもEBPに批判的でなければならない理由を論述するものは、まだ構想段階で論文としてまとめることができていない(口頭発表ではすでに行ってはいる)ため、これについては次の課題としたい。
また本研究のキーワードに「社会の進化」というものがあるが、その概念との関係性についても、まだ構造段階で論文として発表できるまでには至っていないので、これも今後の課題としたい。

  • Research Products

    (8 results)

All 2023 2022

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] エビデンスに基づく政策と実践をめぐる「より柔軟」な理論的アプローチ―ローカルな価値判断の必要性―2023

    • Author(s)
      桐村豪文
    • Journal Title

      教育学研究(日本教育学会機関誌)

      Volume: 90(1) Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] オランダ教育監察局による検査制度2023

    • Author(s)
      桐村豪文
    • Journal Title

      教育行財政研究(関西教育行政学会機関誌)

      Volume: 50 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 学校における効果的なデータ活用の探究 ―諸外国の事例を踏まえた考察―2023

    • Author(s)
      桐村豪文
    • Journal Title

      日本教育経営学会紀要

      Volume: 65 Pages: 印刷中

  • [Journal Article] ウェルビーイングの測定と理論 ―アレクサンドロワの議論を中心に―2022

    • Author(s)
      桐村豪文
    • Journal Title

      弘前大学教育学部紀要

      Volume: 128 Pages: 123-130

  • [Presentation] EBPの理論的多様性―科学の実像を踏まえた立場―2022

    • Author(s)
      桐村豪文
    • Organizer
      関西教育行政学会8 月例会
  • [Presentation] 非認知能力の変化の把握の試み2022

    • Author(s)
      桐村豪文
    • Organizer
      JASLA(学習分析学会) 2022 年度 第1 回研究会
  • [Presentation] データの中 データの中 の教育 /教育の中 教育の中 のデータ データ :教育の可視化をめぐる 教育の可視化をめぐる 教育の可視化をめぐる 教育の可視化をめぐる 教育の可視化をめぐる 実践 と理2022

    • Author(s)
      高松邦彦、伴仲謙欣、桐村豪文、國崎大恩
    • Organizer
      日本教育学会第81回大会ラウンドテーブル
  • [Presentation] ウェルビーイング視点からとらえる外国につながる子どもへの支援2022

    • Author(s)
      吉田美穂、桐村豪文
    • Organizer
      日本教育社会学会第74 回大会

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Published: 2023-12-25  

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