2023 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスに基づく政策(EBP)に対する社会進化論からの検討
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21K02188
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
桐村 豪文 弘前大学, 教育学部, 准教授 (00637613)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エビデンスに基づく政策・実践 / ガバナンス / システムモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主なの論文として以下1つを執筆した。 桐村豪文「エビデンスに基づく政策・実践と教育ガバナンス―第1世代から第2世代,第3世代へ― 」『日本教育行政学会年報』(49) 44-63 2023年 米国、英国をはじめ諸外国では、1990年代後半以降、多くの分野で、エビデンスに基づく政策・実践(Evidence-Based Policy and Practice: EBP)に取り組んできた。EBPに関する考え方はこの約30年の間に第1世代から第2世代、第3世代へと進化してき、本稿では、EBPの考え方がどのような反省の上に進化してきたかを論じた。 EBPの取組として最もよく知られている米国のWhat Works情報センター(What Works Clearinghouse: WWC)、英国のWhat Works センター(What Works Centres: WWC)は、「生産者プッシュ」と呼ばれ、研究活用に合理的な線形プロセスを想定する第1世代のアプローチである。 しかし研究活用とは本来、複雑で非線形のプロセスであり、EBPのガバナンスもその点を考慮に入れたものに進化させる必要がある。それが、「関係モデル」と呼ばれる第2世代のアプローチである。 さらに昨今ではエビデンス活用のプロセスをさらに改善するため、第3世代の考えとして「システムモデル」が模索されている。カナダ・オンタリオ州の取組はその数少ない一つである。エビデンスを踏まえた深い意思決定を行うためには、単に研究コミュニティと実践コミュニティを結びつけるだけではなく、それをサポートするためのインフラの開発が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究を全国誌の論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
そもそもEBPに批判的でなければならない理由を論述するものは、まだ構想段階で論文としてまとめることができていないため、これについては次の課題としたい。 また本研究のキーワードに「社会の進化」というものがあるが、その概念との関係性についても、まだ構造段階で論文として発表できるまでには至っていないので、これも今後の課題としたい。
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Causes of Carryover |
オンラインによる大会参加が増えたため、残額が生じた。 次年度に対面で参加する大会があるため、これに使用する予定である。
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