2021 Fiscal Year Research-status Report
JSL児童生徒の教科学習における学習言語の機能の解明に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
21K02191
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
立花 有希 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60736198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 亜子 (田中亜子) 国士舘大学, 政経学部, 准教授 (10439276)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 第二言語習得 / 学習言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、関連先行研究の分析および調査協力先との意見交換を中心として、次年度に実施する調査の具体化を図った。 先行研究の分析においては、国内および北米、ドイツでの議論を参照し、日本における学習言語の概念構築の不足を確認した。とくに、ドイツでの学習言語概念には、社会の階層性へのまなざしが色濃く反映されており、翻って日本では、そうした言及が乏しいことが明らかになった。また、各教科の中での学習言語について、語彙レベルを超えてその内容を概念化し、そうした学習言語の強化が当該教科の学力向上にどの程度の影響を及ぼすかについての実証的研究が出されていることもわかった。それらを参照しながら、本研究の意義と方法が改めて確認された。 調査協力先に対する調査準備としては、A市教育委員会と細かな意見交換を重ねており、1月にはA市立小学校2校を訪問し、通常学級および少人数指導での授業の見学、授業担当者・校長との意見交換の機会を得た。A市を含む複数の教育委員会から、次年度4月19日実施の「全国学力・学習状況調査」の結果と、それに関連する外国人児童生徒の追加情報の提供について内諾を得ることができ、その調査デザインの設計を進めている。担当教員をはじめ、少なからぬ関係者が学習言語習得に関する課題は外国人児童生徒に限ったものではないという認識を持っており、本研究は外国人児童生徒の学習言語習得を研究課題としてはいるが、研究成果を教育実践にフィードバックする際には、日本語を第二言語とする児童生徒に固有の課題と広く一般の課題とに整理する必要があることも新たに認識された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査依頼先の教育委員会から期待以上の協力を得ることができ、研究のアウトプットの形が明確になっている。感染症に関する行動制限が心配されたが、幸いその影響を受けることなく調査を進められた。
|
Strategy for Future Research Activity |
国内調査に関しては、教育委員会や学校との意見交換を重ね、学校現場のニーズと本研究の関心とを合致させる形でデータの収集と分析を進めていく。ドイツの研究・実践の動向にも引き続き注目し、比較教育学による考察も加えていきたい。
|
Causes of Carryover |
感染症に関する行動制限により、研究者会議を対面ではなくオンラインで実施したため。計画よりも多くの自治体から調査協力を得られる見込みであるため、次年度の国内出張の追加分に充当したい。
|