2021 Fiscal Year Research-status Report
演劇的手法を用いた学習活動における教師の主導性と学習者の自律性
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21K02192
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
渡辺 貴裕 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (50410444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ドラマ教育 / 演劇教育 / 演劇的手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、演劇的手法と自律的な学習のつながりおよびそこでの教師の役割をフィールドワークやアクションリサーチによって実践的に解明することと、イギリスに渡航してドラマ教育の実践と理論におけるこの点をめぐる蓄積について調査することとを計画していた。 コロナ禍の状況が想定していたよりも厳しく、国外調査がかなわず、また、国内でも移動が困難な時期が多かったため、当初の計画の実現はごく限定的なものになった。 実施できたものの一つは、私立小学校での劇の活動の実践事例の検討である。グループごとの劇の創作で、子どもたちが互いのアイデアを受け止められていなかったり必要以上に内容を「秘密」にしようとしたりといった場面で、教師の側に、そのまま子どもたちに委ねるか介入するかをめぐって葛藤が生じていた。こうした場面での教師の省察のあり方について考察を行った。 ドラマ教育以外の角度からの新たなアプローチとして、ドナルド・ショーンの文献をもとに、彼の省察的実践論における「仮想世界」の概念に注目した考察を行った。教師や教師志願者が「活動試行」や「模擬授業」などの形で架空の状況を利用して自分たちが学習者役となりながら授業実践について考える活動を、「仮想世界」を活用した省察的実践のトレーニングの場として捉え、その意義を考察するというものである。 実践研究を進めていく基盤および成果還元の一環として、2020年春にコロナ禍に入って以来休止していた、学びの空間研究会の例会実施を再開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の継続により、海外渡航がかなわず、国内で学校現場に入って行う実践研究にも制約が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ショーンの「仮想世界」の概念をもとにした教師らの「活動試行」や「模擬授業」への考察をさらに進め、「パフォーマンス」関連の研究会において報告することを予定している。また、再開した学びの空間研究会を土台として、実践事例の収集・検討も継続的に行う。 一方、海外に渡航しての調査や発表は今年度も厳しいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外渡航がかなわなかったため。繰り越し分は海外渡航が可能な状況になったときのためにとっておく予定である。
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Research Products
(1 results)