2021 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブな社会を実現する「社会に開かれた教育課程」の編成原理に関する研究
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21K02197
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
福田 敦志 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10325136)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インクルージョン / ドイツ・ブレーメン州 / カリキュラム / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インクルーシブな社会を実現する「社会に開かれた教育課程」の編成原理とその実践構想を明らかにすることを目的とするものである。とりわけ、①インクルーシブを鍵概念とした先駆的な実践を展開しているドイツ・ブレーメン州における学校改革と教育計画(Bildungsplan) の変遷の意味と意義、②ブレーメン州のインクルーシブ教育を理論的かつ実践的に主導している Roland zu Bremen Oberschule(以下、RzBOと略す)の教育課程の全体構造、③RzBO実践の中心をなす「『ともに生きる』ことを学ぶ」(Gemeinsam Leben Lernen)実践の内容と方法、を明らかにすることを主たる目的とする。 研究初年度である2021年度においては、ドイツにおける常設各州文部大臣会議(KMK)が主導するICTを学校改革に位置づけようとする提起が、ブレーメン州の学校改革を方向づけた"Bericht der Expertengruppe zur Evaluation der Bremer Schulreform(2018)"及び"Bremer Konsens zur Schulentwicklung 2018-2028"においてどのような影響を与えているかに関する再検討を行った。このことを通して、ZuPとReBUZと呼ばれるインクルーシブ教育を推進するための組織を中心とした支援システムをさらに充実させていく方向にあることが明らかとなるとともに、子どもの育ちおよび子どもの権利行使への応答責任を軸とする多職種協働を制度的かつ実践的に保障していくに当たって、ICTを積極的に位置づけようとしていることを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の予定していたドイツ・ブレーメン州における調査を、コロナ禍の情勢に鑑み自粛したので、若干の遅れがあると認めざるを得ない。 とはいえ、ドイツ・ブレーメン州における学校改革と教育計画の関係に関わって、"Issues in Conceptualizing ICT Educational Practices for Inclusion - Focusing on the Challenge of Bremen, Germany -"(大阪教育大学学校教育教員養成課程学校教育コース教育学分野編『教育学研究論集』第19巻、2022年3月)にまとめることができたら。 また、この論文の準備ならびに執筆過程のなかで、収集した資料等の分析視点の明確化を果たすことができ、2022年度以降に予定しているドイツ・ブレーメン州およびRzBOでの実地調査における調査項目を整理することができ、実地調査の見通しをつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍をめぐる情勢の推移次第であることは否めないが、研究協力校であるRoland zu Bremen Oberschuleでの実地調査の可能性を種々の観点から検討していく。 また、2021年度までの研究において明らかにすることができたインクルーシブな社会を実現する「社会に開かれた教育課程」の編成原理とその実践構想に関する研究成果をもとに、RzBO実践の中心をなす「『ともに生きる』ことを学ぶ」(Gemeinsam Leben Lernen)実践の内容と方法、を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による情勢に鑑み、予定していたドイツ・ブレーメン州での実地調査を自粛したため、次年度使用額が生じることとなった。コロナ禍をめぐる情勢の推移次第であることは否めないが、研究協力校であるRoland zu Bremen Oberschuleでの実地調査の可能性を種々の観点から検討していく。また、その際には、当該学校の教育課程について、とりわけ「共に生きることを学ぶ」(Gemeinsam Leben Lernen)の位置づけとその内容について集中的に調査する予定である。
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Research Products
(5 results)