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2022 Fiscal Year Research-status Report

Expansion of research on classroom discourse for learning environment design

Research Project

Project/Area Number 21K02213
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

藤江 康彦  東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (90359696)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords教室談話 / ニューマテリアリズム / 活動理論 / アフォーダンス
Outline of Annual Research Achievements

首都圏の小学校1校において、デジタルビデオカメラを用いた授業観察を継続的に実施した。教科や学級を特定せずに幅広く対象を選定し、その学校の子どもや教師の発話や行為、組織的特性と社会的関係のあり方、掲示物や教室の物理的配置、それらの人とものとの相互作用によって生成する文化的特性、その産物であるコミュニケーションの特性について、検討するための映像記録を採取した。組織的特性として、3年生から6年生まで同一集団で過ごす子どもたちの親密な関係性が形成されていた。また、物理的特性として、異学年が一つのクラスターを形成する独立性の高い教室配置がなされていた。これらによって、「学級のカラー」ともいえる学級文化の独自性がみられた。その学級独自の歴史性に基づく談話の生成は、参照基盤としての学級の規範や人工物、出来事などとその授業における学習内容との両者を反映した、両義的なものとなっている可能性がある。その両義的な発話は他方で学級の文化に規定され、他方で学級の文化を生成するものであるが、学校文化の生成との相互規定の様相を明らかにすることは今後の課題である。またタブレット型端末を用いた授業における、子どもと言語との対話の様相について、音声言語による場合と文字言語による場合との子どもの学習や学習参加のあり方の違いは確認できたが、その分析については翌年度の分析課題として持ち越された。現在、文字起こしの準備を進めている。
理論的検討として、エンゲストロームの活動理論、バラッドのエージェンシャル・リアリズム、ギブソンのアフォーダンス等を参照することを通して、学習者集団としての学級、その学級を対象として学習をする教師集団としての学校、という視点、ものの側からみた人間の発話という視点の不可による談話分析の枠組みの拡張、発話のない状態における分析視点などについての示唆を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究課題は小中学校におけるフィールドワークを主たる研究方法としているが、COVID-19による感染症の拡大に対する懸念による2021年度の活動量の低下が2022年度も継続し、学校への訪問回数を抑える必要が生じたことによって、研究の進捗も停滞している。また、理論的検討によって新たな分析視点を得る必要が生じ、そちらにも時間を割いた。さらに、校内研究の共同研究者として参画し、継続して研究協力を円滑に得ることができるよう研究協力校や教師との関係構築を並行しておこなった。これらのことは、2023年度に研究を進めデータを分析しその結果を論文化する過程において有用であると考えるが、「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

2022年度によりもさらに回数を増やしてフィールドワークを行い、データ採取に努める。2022年度に実施する予定であった、以下の計画を実施する。①特定の学級を決めて、定点観測的にフィールドワークをおこなう。授業や休み時間などその学級における子どもたちの活動を観察するとともに、教師へのインタビューをおこなう。②①とは別に学年、教科、単元等を決めて短期的なフィールドワークをおこなう。同一時期に複数のフィールドワークが重複しないようにする。①により、特定の学級の社会的文化的物質的環境における学習者の学習の様相をとらえることを通して、授業において行為者が、当人なりの意志と発話スタイルをもって集団活動としての授業に参加し、一方で集団に求められる学習課題の解決に向けた秩序ある教室談話の成立の両立に向けて生成する行為が教室における多様なアクターの主体性との相互規定によって具体的にあらわれる様相をより緻密に記述していく。また、②により、特定の教科内容や教材と学習者との関係をとらえることを通して、学習者がどういったアクターにどういった価値づけをするのか、自分とアクターとの間にどのように意味ある関係を見いだしているのかをとらえること、学習者の実践に、どういったアクターがどういった制約を与えるかをとらえること、学習者は制約の意味や価値にどのように気づくか、をとらえることが可能となるだろう。

Causes of Carryover

2022年度は、2021年度に続きCOVID-19による感染症の拡大に対する懸念から、計画していた通りに小中学校におけるフィールドワークを実施することができず、都道府県を越えての調査の計画が難しいこともあり旅費の支出がなかったため次年度使用額が生じた。2023年度は計画通り購入するとともに、調査フィールドに移動するための旅費の使用を計画的におこなう。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Book (2 results)

  • [Book] 教師と学生が知っておくべき教育方法論・ICT活用2022

    • Author(s)
      武田 明典、村瀬 公胤
    • Total Pages
      148
    • Publisher
      北樹出版
    • ISBN
      978-4-7793-0676-1
  • [Book] 教師の自律性と教育方法2022

    • Author(s)
      日本教育方法学会
    • Total Pages
      184
    • Publisher
      図書文化社
    • ISBN
      978-4-8100-2768-6

URL: 

Published: 2023-12-25  

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