2022 Fiscal Year Research-status Report
小中学校国語科における説明的文章作成指導に関する歴史的研究
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21K02225
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
鈴木 貴史 帝京科学大学, 教職センター, 准教授 (10588809)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 作文 / 教育史 / 国語 / 小学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は計画段階で、自由主義作文理論の発展とその課題についての考察を試みることを予定していた。おもに大正期における「随意選題論争」、戦中戦後における「生活綴方論争」などについて、先行研究の知見を概観し、「読むこと」と文章作成指導がいかにして分離していくのかについて分析する計画であった。 しかしながら、前年度における明治10年代までの範文模倣期の分析が不十分であったことから、その継続と明治30年代以降の状況についての基礎的文献の調査を行った。 具体的に一つめの明治10年代の状況については、明治12年の教育令以降の作文教育の変化について文献調査を行った。ここでは先行研究でみられる範文模倣から自由作文が提案された時期であったことが確認された。とりわけ明治16年の『改正教授術』以降明治20年代にかけて作文によって児童生徒の自由な意見を表出していくという教育観が醸成されていたことを確認することができた。 二つめの30年代以降の状況については、樋口勘次郎の作文教育論を中心に随意選題作文が登場した背景とその理論について検討することを試みた。また、樋口の影響を大きく受けたと思われる芦田恵之助の作文教育理論についても基礎調査を行うことができた。加えて、芦田を中心とした高等師範学校および附属小関係者の作文教育理論やその実践についても調査を行うことができている。 今年度は、2つの作業を同時並行で行ったことから研究成果として公表するには至っていないが、次年度以降にこれらを発展させる土台を築くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述に記載の通り、今年度は計画段階で、明治30年代における自由主義作文理論の発展とその課題についての考察を試みることを予定していた。 しかしながら、前年度における明治10年代までの範文模倣期の分析が不十分であったことから、その継続と明治30年代以降の状況についての基礎的文献の調査を同時並行で行うことになった。こうした事情から1つの作業に十分な時間を割くことができなかったことから当初の計画より研究が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に2つの時代の作文教育について基礎的な文献調査を行うことができた。今年度は、2つの作業を同時並行で行ったことから研究成果として公表するには至っていないが、次年度以降にこれらを発展させる土台を築くことができている。そのため、次年度については、複数の研究成果を公表できると思われる。
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Causes of Carryover |
今年度は資料としてダウンロードできる文献が多かったため書籍の購入が予定より少なかったことが挙げられる。次年度以降は昭和以降の文献を購入するための費用として計画している。
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