2023 Fiscal Year Research-status Report
Making cultural properties used in science education as teaching materials and establishing methods
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21K02232
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Research Institution | Kyushu Lutheran College |
Principal Investigator |
坂本 昌弥 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (90804641)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 指定文化財の活用 / 理科教育 / 溶結凝灰岩 / 文化財保護法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小学校学習指導要領で掲げられてる理科教育を行う際の「地域性を生かし,地域の特徴的な動植物を取り上げることを通して,身近な自然に愛着をもつようにする」を具体的に実践できる方法の確立を目指している。 そのために文化財保護法に基づいて国及びそれぞれの自治体によって学術的な価値づけと保全が十分になされている指定文化財を理科教育の活用する方法の確立を目指しており,2023年度は,鹿児島県を研究フィールドとして,①鹿児島県指定名勝「桜島」の理科教育への活用,②鹿児島県の地質系指定文化財の特徴,③指定文化財が持つ教材としての価値と特徴,④地域に根ざす地科学教育教材の開発,⑤沖縄県伊平屋島の年頭平松調査,の5点の研究を実施し,⑤を除き学会等で公表した。そこで鹿児島県内に位置する国指定の地質系文化財は,火砕流堆積物が固結した溶結凝灰岩に由来するものが多いことが特徴であり,この溶結凝灰岩(花棚石,加治木石,蒲生石,郡山石,荒平石,山川石等)は加工しやすく,生活の中に取り込みやすいため,建造物(橋梁,建築物等)に活用され,歴史上の権力を示す指標となる場合も見られることを明らかにした。 また文化地質研究会の年次発表大会(第7回文化地質研究会令和5年度熊本大会総会・研究発表大会・フィールドワーク)を勤務校で実施し,鹿児島大学名誉教授大木公彦氏による鹿児島県の文化財と地質の関係性等について参加者で協議した。加えて熊本地震で甚大な被害を被った国指定特別史跡熊本城,国指定天然記念物「布田川断層帯」のフィールドワークを実施し,参加者とともに理科教材としての文化財の有用性について共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鹿児島県を中心とした指定文化財の教科「理科」での教材化については,地質分野を中心として実施できている。しかし全国的な文化財調査を基にした12万件の文化財のデータベース化や,学習指導要領で推奨されている「「遠足や移動教室などあらゆる機会を生かすとともに,博物館や資料館などの社会教育施設の活用」における指定文化財の教材化に係る研究が進んでいない。これらは新型コロナウイルス感染症対策のため2021~2023年度にかけ,各教育委員会や関係者への聞取り調査がしづらい環境にあったため,計画を変更したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
沖縄県伊平屋島の年頭平松をはじめとする理科教材としての伊平屋島全域の調査を実施し,伊平屋村教育委員会と研究内容について共有する。特に①教材化(授業案の作成),②授業実践・教育効果測定,③成果公開(学会発表,論文,HPでの公開,都道府県教委及び教育センターへの報告等)をおこない,天然記念物を効果的な小学校理科教材とするために必要な方法・コツ及びその効果を明らかにすることを目指す.同様に鹿児島県曽於市に存在する国指定天然杵物「溝ノ口洞穴」についても研究に着手する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症によって2021年~2022年に実施予定であったフィールドワークの未実施分について,2024年~2025年に実施する計画である(沖縄県伊平屋島,鹿児島県曽於市,鹿児島県喜界町)
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