2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic study on development of Informal education theory in community education
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21K02240
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡 幸江 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50294856)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Informal教育 / 専門職団体 / スコットランド / CLD / Value / 実践のストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績は以下の通りである。1)2021年度に焦点的に実施したコロナ禍下久留米市コミュニティセンター調査の補完調査(行政やNPOとの関係構図の探求)。2)コロナ禍により2021年度に行い得なかったスコットランドCLD論資料収集のためのスコットランド現地での予備的調査の実施、3)本調査にむけてのスコットランドCLDに関する共同学習会の実施、4)Informal教育論の論じ方に関係する論文の執筆。 とくに2)においては、特に政策立案者・実践者・研究者の連携に力点をおいたスコットランドCLDの探求において、①全国的な専門職の集団的な動きのみならずエリア単位の動きに視点をあてる重要性、②ユースワーク・コミュニティワークなど日本で一般的でない概念を扱うにあたりあえて典型的ではない実践に光をあてる有効性、③現地実践現場との継続的な関係の構築とそれに伴う「地域」概念を深めるための視座の考察など、本調査に有益な新たな視座や経験を得た。3)については、2023年9月の調査参加予定3名とともに、Lyn Tett著書の講読と議論を中心に、この間合計7回の学習・検討会を実施したところである。日本の社会教育・社会教育士をめぐる状況も確認し比較検討するなかで、①新自由主義的影響の共通性と違い、②この間の実践をめぐる"Value"(価値)の位置に関する検討、③実践者と市民双方における労働の位置などが論点に浮上しつつある。4)については、日本社会教育学会紀要に論文を投稿し、2023年6月発行号に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定的な進展と考える最大の理由は、月1回以上行っているオンラインでの学習会が実り多いかたちで定着してきたことによる。2023年9月の渡英にむけて、参加予定者の間での事前学習会として組織したものであるが、参加者の主体的な発言・調査行動が得られており、またスコットランドCLDのみならずそれをまなざす視点を考えていくうえでの日本の社会教育をめぐる議論も活性化している。 また2023年3月にはコロナ禍以降初のスコットランド再訪・調査がようやく実現した。9月の本調査にむけての予備調査であり、エディンバラ大学の研究者たちとの協議や、CLD各種実践先の訪問を行った。3年前の訪問研究員滞在時に考えていたことのブラッシュアップがかなうとともに、コロナインパクトがCLDや人々の暮らしに与えた影響をリアルに感じ得たことも、今だからこそ得られるものとして貴重であった。なお本予備調査は2022年9月に予定していたが、身内の不幸により、2023年3月に時期を移動させて実現したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、定例化したスコットランドCLDをめぐる学習会を継続し、訪問調査の準備および、日本との比較検討の視点をより精査していく予定である。その延長上で、9月には集団的な訪問調査を実施する。 次に、当初予定していたフォーラム実施の計画を一部変更し、より小規模かつ密度の濃いかたちで、スコットランドCLDをめぐる実践ストーリーを共有し学び合う学習会を実施する。この前提には間もなくたちあがる「社会教育士ネットワーク九州」準備会との日常的な連携がある。またこの理由には、ポストコロナ段階への変化のなかで、コロナ調査を媒介とするより、実践の記録を媒介とする方策のほうが妥当という判断がある。 上記2つを計画の基軸とし、また英国Informal教育論はもとより、CLDにはより身近なCommunity development論の探索もすすめながら、研究の進展を図る予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、海外調査準備が後ろ倒しになっている。2023年9月に行う本調査に使用額を集中させるため、次年度使用額が生じている。
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Research Products
(3 results)