2023 Fiscal Year Annual Research Report
米国の教育長・校長に対するインダクションとメンタリング構造要因の特質に関する研究
Project/Area Number |
21K02247
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
八尾坂 修 玉川大学, 教師教育リサーチセンター, 客員教授 (20157952)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員定着・離職 / サーバント・リーダーシップ / スピアーズ10の特性 / 校長の経営実践 / 公正性・包摂性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.アメリカにおける教員離職要因の一般的傾向、特に困難校に勤務する教員の離職・定着の状況とその特徴について具体的なケースに基づき探った。2.教員定着をもたらす方略として教職員全般の傾向を探るとともに都市部困難校におけるマイノリティ教員の定着方略について、学校組織環境における関係性、とりわけ指導的リーダーとしての校長の役割と教員の関係性を捉えた。3.校長の先導的役割をサーバント・リーダーシップの具体的行動特性と教員にに及ぼす影響効果の視点との関係性から検討した。サーバント・リーダーシップのエビデンスを探るため、スピアーズの10の行動特性に対するニューヨーク市の模範校長による経営実践上の語り、ニューメキシコ州過疎地域の校長と教員との日常の相互関係性における語りから明らかにした。 サーバント・リーダーシップの影響効果として、教員の勤務態度にプラスの影響を及ぼすとともに、ストレスといった感情的摩擦、離職志向を軽減することにもなった。またフォロワーのパフォーマンス、組織に対するアイデンティティの向上とともに組織自体のサステナビリティに波及することも確かであった。但しサーバントリーダーシップの阻害要因も存在した。学校組織環境におけるサーバントリーダーシップの実践をめぐって緊張と複雑さが付きまとうのも事実であった。リソース配分の意思決定、現代の学校に蔓延するアカウンタビリティ文化、職務多忙化、リーダーシップスタイルに対する認知やバイアスへの向き合いであった。しかしながら模範校長の事例にみるように教師の学びを尊重した行動での新たなリーダーシップの形、すなわちサーバントリーダーシップ的視点を象徴化したのである。
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