2022 Fiscal Year Research-status Report
国内の公的機関における墨ぬり教科書の所蔵状況に関する調査研究
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21K02252
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
松田 正貴 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 准教授 (30516662)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 墨ぬり教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、墨ぬり教科書を所蔵する公的機関(図書館、博物館、郷土資料館、公文書館など)へ出向き、墨ぬり教科書の現物の閲覧・撮影を行なった。また同時に、教科書の削除修正がどのようなプロセスを経て実施されたのかを明らかにするため、学校日誌や連合軍指令綴などの所蔵状況についても調査し、現物の撮影を行なった。従来の説では、墨ぬり教科書の現物は国内にほとんどないと考えられていたが、実際に調査をしてみると現時点でおよそ150冊の所属が確認された。さらに2022年度の調査では、国民学校期に使用された教科書のほぼすべての科目について墨ぬりが施されていたということが分かった。ただ、国民学校高等科や中等学校などについては墨ぬり教科書がほとんど見つからず、このあたりについてはさらに踏み込んだ調査が必要であることが分かった。 現時点で150冊の墨ぬり教科書の所蔵が確認されたとはいえ、全国的な広がりを考えるとやはり現存しているものの数が少なすぎる。なぜこれほど少ないのか。廃棄されてしまったのか、あるいはまだ旧家などに収蔵されたままなのか、このあたりについても今後調査する必要がある。ただ、現時点で言えることは、教科書の文言の削除は、全国で一斉に実施されたものではなく、地域によってその実施時期や実施方法にばらつきがあったということ、また、各学校の方針によって削除箇所も異なっていたということである。なぜここまでばらつきが生じたのか。そのあたりを引き続き調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究計画の遅れがまた完全には取り戻せていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様、可能なかぎり全国の公的機関をまわり、墨ぬり教科書およびそれに関する資料を調査するつもりである。
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Causes of Carryover |
昨年度からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響により研究計画が遅れ気味になっているため。
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