2022 Fiscal Year Research-status Report
教師の批判的リテラシー形成に向けた教師教育プログラムの開発研究
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21K02261
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
竹川 慎哉 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30513311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 批判的リテラシー / 教師 / 教科横断 / 権力関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①教師が持つべき批判的リテラシーの構成要素の解明とモデル化、およびその形成のための教師教育プログラム(教員養成・現職教育)の開発、②そうした教師の批判的リテラシーはどのように授業づくりに発揮されるのか(指導論)の解明(政治的中立性の捉え直しに基づいた指導論の提案)を目的としている。 2022年度は前年度の概念整理を枠組みとしながら国内外の授業実践を分析し、そこで行使されている教師の批判的リテラシーを指導技術の中から明らかにすることを目的とした。学習者が批判的に学ぶためには、教師は生活現実において争点のある事柄を教材化すること、教科内容研究において知識の境界を権力関係の視点から問い直すことが必要となることを指摘した。さらに、そうした知識の境界を問い直す授業づくりに向けて、教科横断学習の課題を明らかにした。 以上のような知見は、教師の指導性を政治性の視点から再定義することにつながる。教師の指導を政治性(権力関係)の文脈で問い直すと、教師が学問的成果に基づいて精緻に教科内容と教材を研究し、それを主体的に獲得するような問いを学習者に投げかける指導から、教科内容や教材を権力関係の視点から分析し、教師と学習者、学習者間の一致ではなく「不一致」を呼び起こすような指導へと転換することになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究計画としていた授業実践の分析について、日本国内のものについては進めることができたが、カナダ、オーストラリアの実践例については着手できなかった。また、その資料収集のための現地調査を実施することができなった。研究図書所収の論文を1本執筆することはできたが、学会発表を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、申請者がこれまで研究対象としてきたカナダまたはオーストラリアの批判的リテラシー教育に注目し、実際の学校訪問と授業参観、資料収集、研究者へのインタビュー等現地調査を行う。 また並行して、教師の批判的リテラシー形成に関する理論文献の分析を進める。
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Causes of Carryover |
海外調査が実施できなかったことによるものが大半であり、加えて国内学会が未だオンライン実施であるため出張旅費の支出がなかったためである。 2023年度以降は海外調査を予定しており、さらに国内学会も対面開催が予定されているので、計上した予算は使用される見込みである。
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