2021 Fiscal Year Research-status Report
女子大学生の昇進意欲を高める大学での経験:キャリア教育立案に向けて
Project/Area Number |
21K02287
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
太田 さつき 静岡産業大学, 経営学部(藤枝), 教授 (70327279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 女性 / 昇進意欲 / 管理職 / 大学生活 / キャリア教育 / 自己効力感 / 社会人基礎力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目的は,女子大学生の昇進意欲を高める経験を明らかにし,その経験がなぜ,どのように昇進意欲を高めるかを探ることである。 研究開始準備段階で,大学生活での経験が能力の伸びや自己効力感の高揚を通して昇進意欲を高める可能性を見出した。この知見を活用し,初年度(2021年度)の目的を,大学生活における経験の中のどのような要因が社会人基礎力の伸びとキャリア選択自己効力感に関係するのか明らかにすることとした。方法は,大学生を対象としたアンケート調査である。 WEB調査で得た1500名の男女大学生からの回答を分析した結果,見出したことは次の通りである。1)大学生活で交友関係を深めたり広めたりすること,授業内グループワークに熱心な学生ほど成長を実感している。2)交友関係を深めたり広めたりすること,インターンシップに熱心な学生ほど,リーダーになる機会を経験している。3)授業やグループワーク,交友関係を深めることに熱心な学生ほど,社会人基礎力が入学後に伸びたと知覚し,志望職業に就くために努力する自信(キャリア選択自己効力感(意思決定))が高い。 性差について見出したのは次の通りである。1)女性は昇進を希望しない者が最も多いのに対して男性は高い職位ほど希望者が多いため,大学在学中から女性の昇進意欲は男性より低い。2)大学生活において女性は授業や資格取得のような個人で完結する活動に熱心で,男性はプロジェクト型授業やゼミ,部活のような協働を伴う活動に熱心である。アルバイトは女性の方が熱心である。3)他者と交流したり連携したりする機会は,女性の方が男性より多いが,リーダーとなる機会は女性の方が男性より少ない。4)社会人基礎力は,女性の方が男性より伸びたと知覚しており,キャリア選択自己効力感(意思決定)も女性の方が高かった。5)女性は身近な同性の管理職が,男性より極端に少ない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度2021年度の目標として設定したのは,大学生活での経験中のどのような要因が,大学生の能力の伸びや自己効力感に関係するか明らかにすることであった。当初の予定通り,調査票を作成し,WEB調査を実施して男女1500名の大学生から回答を得ることが出来た。データ分析の途中であるが,能力の伸びや自己効力感に関係する経験を,ある程度把握することができた。性差についても捉えた。したがって,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
働く女性を対象とした先行研究の多くは,希望の役職名を選ぶことで昇進意欲を捉える。しかし,就業経験の限られた大学生にとって,役職名だけで昇進意欲を捉えるのは難しい。役職のイメージで捉えてしまう可能性があるからである。 研究開始前に,女子大学生が職務内容も含めて昇進を捉えていることを確認したが,総合職の職務内容を基にしたため,管理職の職務内容として不足がある。したがって,研究2年目の2022年度は大学生の昇進意欲の内容を捉える尺度を作成することを目的とする。まず,ホワイトカラーを対象にWEB調査を行って,職務内容や求められる役割の職位による違いを把握する。その後大学生を対象にWEB調査を行い,大学生対象に適用可能か把握する。
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Causes of Carryover |
研究費申請時の予定では,研究初年度2021年度に2回調査を行う予定であった。登録者の傾向が異なる調査会社もしくはサイトを利用することで,調査対象者の偏りによる影響を回避することが,調査を2回実施する理由であった。しかし,交付決定額が申請額より少なかったため,調査は1回しか実施できなかった。交付決定額は,調査2回分には不足であったが,調査1回分を上回った。その分が次年度使用額となった。 研究2年目にあたる2022年度は,研究費申請時からホワイトカラーを対象とした調査および大学生を対象とした調査,合計2回の調査を実施予定であった。2022年度交付決定額も申請額より少なかったため,調査2回分には不足である。しかし,次年度使用額を追加し,更に対象者の人数を調整することで調査2回分に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)