2021 Fiscal Year Research-status Report
フランスの大学における大衆化後の変容する教育観に関する総合的研究
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21K02295
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田川 千尋 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (10599434)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学における教育観の変化 / 高大の接続 / フランス / バカロレア試験 / 大学入試選抜 / 中退希望者支援 / 進路選択支援 / 進路変更支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1990年代以降のフランスにおける大学生研究を分類し、教育観の変化についてこれらの中にどのように表出しているかの検討、および、大学の初年次における学習支援および中退者・進路変更希望者に対する支援の現状に関する調査を通し、 ・フランスの大学における大衆化後の教育観の変化を明らかにし、これまで社会学的に行われてきたフランスの大学生研究を基盤の上に、教育学的観点から、大衆化する大学の変容と社会との関係について総合的に議論すること ・さらに、研究を通し、フランスの大学生研究の体系的な先行研究の基盤作りを目指すことである。 本年度はコロナ禍により渡航調査ができず、文献入手もオンラインでできないものもあったが、文献上およびオンラインインタビューで実行可能なことに焦点を絞った。高校で育まれた能力を大学に繋ぐための全国的な取り組みである能力枠組み(「分野別期待される能力の全国枠組み」)およびこれが置かれた高等教育進路選択システムの分析、策定の背景に関する調査・文献調査を通し、初年次および中退・進路変更希望者支援のフランス的文脈や特性について明らかにした。これらは、現在のフランスの大学の教育観の変化を捉えるという研究目的を果たすことに寄与するものである。これらの成果は日仏教育学会年報、広島大学高等教育叢書、共著2冊、学会発表3件(フランス語による発表を含む)にて発表された。またフランスの大学生研究の体系的な先行研究の基盤作りに関しても、大阪大学人間科学研究科教育制度研究室HP上に、日本語で読める文献リストを公表し、体系化の一歩を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により渡航制限があり、現地調査が全く実施できなかった。文献を通した教育観の分析に重点を置き、調査はオンラインインタビューを行うなど、代替的な手法でできる限り進めたが、これらは現地における訪問観察調査と同等の成果を得られるものではなく、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
出入国時の制限が残るため完全な形ではないもののコロナ禍による渡航制限は徐々に緩和されており、令和4年度は可能な限り現地調査および招聘を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により往来が制限されたため、現地調査も、研究者招聘も行うことできなかった。渡航制限はまだあるものの、緩和はされているので今年度は現地調査実施で使用する予定である。
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Remarks |
大阪大学人間科学研究科教育制度学研究室HP内
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Research Products
(9 results)