2021 Fiscal Year Research-status Report
初任者教員の授業実践をめぐる教育社会学的研究:「教師になる」過程と経験に着目して
Project/Area Number |
21K02298
|
Research Institution | Kyoei University |
Principal Investigator |
山田 鋭生 共栄大学, 教育学部, 准教授 (00756215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 奈生子 共栄大学, 教育学部, 教授 (90615973)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 学校的社会化 / 職業的社会化 / 初任者教員 / 相互行為分析 / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究実施計画に基づき下記の研究実績を蓄積できた。 まず、「現在までの進捗状況」欄で言及しているインタビュー調査の結果として得られた音声データと本研究実施以前より収集された映像データをもとに、研究代表者、研究分担者、研究協力者によるデータ検討会および調査に関する打合せをおおよそ2週間に1度の頻度で実施した。それによりデータの分析知見を積み重ね、最終年度での報告書刊行を実施する予定である。 そして、上述したデータ検討会の結果の一部をもとに本研究と同様の理論・方法論を採用する研究者・研究グループと共に検討結果についての意見交換を行い、それらをもとに「学校的社会化研究プロジェクト」(「学校的社会化の理論的・経験的研究-『児童になる』論理と実践の教育社会学的探究」代表:立教大学名誉教授 北沢毅 課題番号:18H00990)におけるオンラインでの公開研究会(2021年7月24日実施)で「若手教員と1年生の授業秩序をめぐる相互行為の分析」と題した報告を行った。 また、2022年度より新任教員を対象としたインタビュー調査とビデオ録画を伴う参与観察を実施するための準備作業として、学校的社会化の一側面としての教師の職業的社会化というテーマを共有する研究者と共に先行研究の検討会を4度にわたり実施した。さらには、調査実施予定の自治体教育委員会、対象校、教員に対して、調査受け入れの交渉と説明を行い、2022年度はじめからの調査の内諾を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は研究開始年度以前より実施していた若手教員と勤務校に対する調査に関連させる形で、新たに先述した若手教員の着任初年度に初任者指導教員として直接指導にあたった教員へのインタビュー調査を実施した。それによって、初任者を指導する立場からの「現実」と、その指導を受ける側の立場である初任者教員の「現実」の両方へのアクセスが可能となり、職業的社会化過程としての「初任者指導」の「現実」に関する分析が可能になったと考えられる。また、2022年度より教員として着任予定の大学生3名にインタビュー調査を実施した他に、新たに若手教員のインフォーマントを1名増やしている。それらの教員についても継続的にインタビュー調査を実施していく予定である。 さらに、当該年度は初任者教員として大学卒業後に初めて教壇に立つ教員に対する調査実施依頼を新たに行い、2022年度初めよりインタビュー調査と授業場面の映像データ収集の2つの調査を並行して実施・展開することが決定した。2022年度5月現在、既に2つの方法による調査が開始されており、調査対象の教員の学級へのビデオ録画を伴う参与観察を週に1回のペースで実施することに加えて、授業をはじめとした教育実践についてのインタビュー調査を1回実施している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度において実施したインタビュー調査のインフォーマントには今後も継続してインタビュー調査を実施する内諾を得ているため、初任者および若手の教員に対する継続的なインタビュー調査を実施していく予定である。 また、2022年度より初任者教員に対するインタビュー調査と当該教員の学級に対する参与観察を開始しているため、2022年度中はそれらの調査を継続し、音声データ、フィールドノーツ、映像データを蓄積し、その分析を行う予定である。 さらには、これまでにも実施してきたデータ検討会を重ねて実施すると共に、現在調査対象となっている初任者教員にデータの分析結果をフィードバックするカンファレンスを実施し、調査をアクションリサーチ的に進行させる予定である。 そして、研究最終年度では2022年度と同様の調査を別の調査対象者・対象校において実施することも検討中であり、研究最終年度においては調査報告書の刊行を予定している。
|
Causes of Carryover |
2021年度当初は北海道旭川市でのインタビュー調査を予定し、そのための旅費も計上していたが、新型コロナウィルス感染症流行の社会的状況を鑑み、その調査を中止したことにより次年度使用額が生じた。 一方でインタビュー調査のインフォーマントを増やしたことにより、インタビュー調査に関係する文字起こし等の経費が増加することが見込まれており、次年度使用額は主にその経費として使用される予定である。また、2022年度分として請求した助成金についてはインタビュー調査の文字起こし等で助成金を使用するだけでなく、参与観察において使用するビデオカメラを増設する予定があり当初計画の通りに助成金を使用する予定である。
|