2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the combination of policies, governance, organizations, and professions that better guarantee high school graduate employment
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21K02301
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
筒井 美紀 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70388023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居神 浩 神戸国際大学, 経済学部, 教授 (70289057)
御旅屋 達 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10646558)
田中 真秀 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50781530)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高卒就職者の進路保障 / 政策形成過程の政策内容への影響 / 「18歳の壁」的課題 / 「学校プラットフォーム」 / 「地域内蔵モデル」 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度は、大阪府教育庁「府立高校における進路保障機能の充実事業」(通称「定着支援事業」)の調査を実施した。同事業は、或る「課題集中校」における3年間のモデル事業で、内容は以下である――同校の教員らが「気になる」高卒就職者数十名を挙げる。事業受託組織が入社初年度に企業訪問して本人と上司にヒアリング、双方の困りごとの相談に乗り、必要に応じて福祉機関に繋ぐ。同時に、企業で必要な資質や能力を分析し高校に還元する。これを受けて同校は、キャリア教育と生徒支援をより良いものにしていく。つまり「定着支援事業」は、就労・教育・福祉の3領域を卒業後に、またそこから逆算するかたちで在学時とも繋ぐことを目的とした革新的な試みである。 私たち研究チームは、教育委員、対象校の教員十数名、SSW、受託組織への聴き取りと資料入手、府庁ウェブサイト掲載資料の分析を行ない、以下の知見を得た。 ①同事業は革新的であるがゆえに、その政策形成過程には、財務部局の論理、教委部局の論理による「成型」を被った。つまり「これは労働政策、あれは福祉、教育政策」といった従来的カテゴリー化によって、政策の融合・総合が妨げられた面がある。 ②さまざまな課題をもちつつ入社した高卒就職者は、教員やSSWや就労支援員らによる在学時の手厚いサポートが切れ、また福祉政策・労働政策の脆弱さゆえ、困りごとへの対応に困難を抱えていることが少なくない(「18歳の壁」的課題)。 ③同事業は二年目が終わったところであり、高校と事業受託組織の連携は、企業分析のツール開発や定期的会合の実施など進捗してきた。もちろん、「学校プラットフォーム」「地域内蔵モデル」化へ向けての課題は見受けられるので、事業最終年度=2022年度の展開を調査していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるが、その成果を2022年5月の社会政策学会にてテーマ別分科会を立ててメンバー全員で報告をするほか、研究代表者は2021年10月の日本労働社会学会シンポジウムで報告や、学術誌や労組機関紙への論文・記事掲載をした。
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Strategy for Future Research Activity |
「府立高校における進路保障機能の充実事業」が如何に総括され、如何なる政策へと展開するかという観点をもちながら調査を継続しつつ、府内の通信制高校の実践や、地域事業所の組織化運動の研究へと展開していく予定である。
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Causes of Carryover |
事務手続きの煩雑さの中における計算違い。6000円程度と少額なので、書籍費などに充当する予定。
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Research Products
(7 results)