2021 Fiscal Year Research-status Report
The Philippines as a Center for Catholic Clerical Formation in Asia: A Study on Religious Mobilities for Formation
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21K02302
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
市川 誠 立教大学, 文学部, 教授 (60308088)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィリピン / 宗教者養成 / 人の移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19感染抑止のための渡航制限からフィリピンでの現地調査を行うことができず、日本国内からインターネットを通じた調査・資料収集のみ行った。 周辺国からフィリピンへ移動してくる宗教者を多く受け入れているとみられる神学校をリストアップし、各校のウェッブサイトなどから得られたデータを分析した。これに基づき、各校を次の諸点でカテゴリー分けした。すなわち①設立母体が修道会か否か、②主な目的が司祭養成か否か、③寮や奨学金など就学支援の有無といった特徴での分類を行った。 またこのうち1校では就学者の出身国などの属性データを得ることができた。それによると2010年代を通じてフィリピン人以外の学生ではアジア出身者が多く、なかでもベトナム出身者が3分の1から5分の1と抜きんでており、かつ増加傾向にあった。またミャンマー出身者も増加傾向にあった。一方インドネシアとインド、韓国、中国の出身者も常に一定割合を占めたが増減の傾向は確認されなかった。これらの結果は、フィリピンへの宗教者の移動のトレンドを今後究明していくための作業仮説と位置づけられる。また最終年度に実施を検討している送り出し国調査の対象国選定の参考となる。 また上記の他、アジアの神学ならびに宣教に関して近年の論点・課題を把握するため先行研究の収集・整理を行った。これは次年度以降に開始予定の神学校での収集資料を分析するための視点や基準を構築する準備作業と位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染抑止のための渡航制限からフィリピンでの現地調査を行うことができなかった。このためフィリピンを対象とした調査は、インターネットを通じた資料収集やコミュニケーションによる限定的なものにとどまった。 フィリピンでの調査対象である語学学校、神学校、修道会のうち神学校の調査は一定程度行うことができた一方、語学学校は、もっぱら生徒となるはずの来比外国人がほとんどいなくなったため休校状態にあるとみられ、小規模なものが多くウェッブサイトを開いていないこともあり、インターネットを通じた調査を行うことができなかった。 また修道会は、語学学校や神学校と異なり教育機関でないため、必ずしも対外情報発信に積極的ではなく、ウェッブサイトを開設している場合でも、本研究テーマに関連して得られた情報は限定的であった。オンラインでのコミュニケーションも、直接の訪問や関係者との対面でのアプローチが実現したうえで初めて可能となるものであり、今年度はその段階に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施できなかったフィリピンに渡航しての調査の可否とその時期によって今後のスケジュールが左右される。内外のCOVID-19をめぐる状況の展開は予断を許さないが、2022年4月末時点でフィリピンではワクチン接種済の日本からの渡航者に対する入国制限は緩和されており、2022年8~9月の初回渡航調査実施を想定している。 現地では語学学校と神学校、修道会への調査を計画しているが、このうち語学学校のなかには、休校していたり存続していないものもあるかもしれない。神学校や修道会と比較して経営規模が小さく、もっぱらフィリピンに入国した直後の外国人の宗教者を生徒(顧客)としているこれらの学校は、2年にわたり外国人の入国が制限されたことで相当の影響を被ったとみられる。これらの学校のほとんどは元からウェッブサイトをもっておらず、その現状を把握するこはできていない。渡航調査の再開時には、各学校が継続しているか否かの確認をまず行うことになる。 なおCOVID-19の警戒レベルによっては、現地調査のなかでも文献資料の収集よりも対面でのインタビュー調査の方が、実施しにくいと予想される。その場合、前者を後者よりも優先して実施するといった対応をすることになる。具体的には、神学校が発行している紀要(神学研究)などの収集を先に行うことになろう。
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Causes of Carryover |
COVID-19の内外での感染と、その抑止のための渡航制限が当初の想定より長引いたため、フィリピンでの現地調査を行うことができず、支出の中心である旅費をまだ使用できていない。同様に調査時に使用予定の消耗品と協力者への謝礼品も不要であった。 これらは、現地調査が可能となることで、2022年度以降に使用することを予定している。
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