2022 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の小中学生の学力問題解決のための追跡調査研究~静岡との比較を中心に~
Project/Area Number |
21K02312
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西本 裕輝 琉球大学, グローバル教育支援機構, 教授 (20301393)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 学力 / 沖縄 / 静岡 / 小学校 / スマホ利用時間 / 動画視聴時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
残念ながら沖縄は学力の低い地域として知られている。本研究の目的は、沖縄県の小中学生の学力の規定要因を静岡県との比較を通して検証し、沖縄の学力を全国平均並みに向上させることである。 そのために沖縄と静岡において小中学生を対象とした学力調査、質問紙調査等を行う。これまで研究者たちは学力の高い秋田や福井などに注目してきたが、本研究で静岡を沖縄の比較対象として取りあげるのは、静岡の子どもたちの学力が、小学生から中学生にかけて大きく上昇するからである。これは中学生にかけて大きく下降する沖縄のパターンと正反対であり、静岡から学ぶことは非常に多いと思われる。特に、静岡の小学生の基本的生活習慣が整っていることが過去のデータより明らかになっており、学力を上昇させる要因の一つと考えられる。質問紙調査により、そうした要因について把握し比較・検討する。ここで得られた成果を教育現場にフィードバックすることにより、沖縄県の子どもたち、特に中学生の学力を向上させることができると考えている。 あいにく新型コロナウイルス感染症の影響を受け、予定通り調査を進めることが困難であり、若干の修正を強いられているものの、その状況を逆手に取り「コロナ休校」「タブレットの導入」「スマホ・タブレット利用時間」「動画視聴時間」等、学力へ与える影響を無視できない新たな要因も分析に取り込んでいる。 今年度は、静岡・沖縄両県における小学生調査(静岡:388名、沖縄:372、計760名、回収率100%)を実施し、学力の状況について把握を務めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響を受け様々な制限のある中、一部調査が実施できなかったものの、静岡県においては静岡の小学校での教職員対象の研修の実施及び質問紙調査を実施することができた。また沖縄県においても小学校への訪問調査、小学校における質問紙調査を実施することができた(回収数760名)。 分析の中で、沖縄の子どもたちは静岡に比べ、朝食摂取率が低いこと、睡眠が乱れていること、スマホ利用時間が長いこと、YouTube等の動画視聴時間が長いことなどが明らかになった。 よって研究全体としてはおおむね順調に推移していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の広がり具合にもよるが、今後も沖縄・静岡両県における調査を継続していく予定である。特に採択後に学校の状況が大きく変化し、文科省の実施する「令和4年度全国学力・学習調査」において沖縄の順位が中学生だけでなく小学生も最下位に転落したり、1人1台端末(タブレット)が小中学生全員に配布されたりするなど、新たに検討しなければならない要因が生起している。当初の予定にはなかったがそれらの要因も変数に取り込みながら分析を進めていきたい。
|
Research Products
(6 results)