2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K02318
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
松岡 亮二 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (80637299)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 教育格差 / 社会経済的地位 / 学校間格差 / パネル調査 / 格差の平行推移 / 情報通信技術(ICT) / コロナ禍 / 教員調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のテーマは、出身家庭の社会経済的地位(Socioeconomic status, 以下、SES)や出身地域といった子ども自身に選択の余地がない初期条件によって、教育成果(学力や最終学歴など)に差がある「教育格差」の実態と生成メカニズムの検証である。そのために、コロナ禍における出身家庭のSESによる機会の格差(教育機会格差)と結果の格差(教育格差)の実態、それに、それらのメカニズムを実証的に検討した。また、教員の出身家庭のSESに関する研究を行った。 <1>文部科学省の委託研究の報告書論文(「コロナ禍における教育格差」)では、学校の情報通信技術(ICT)に関する格差の実態を、時点間の変化も含めて記述的に示すことを目的とした。そのために、「新型コロナウイルス感染症と学校等における学びの保障のための取組等による児童生徒の学習面、心理面等への影響に関する調査研究」の一部として実施された2時点の抽出学校調査、それに、令和3年度全国学力・学習状況調査の児童生徒と学校の個票データを用いた。複数の調査データを用いた分析の結果、小学校と中学校の両方の段階で、学校SES(児童生徒の平均SES)が高い層と比べて低い層はICT活用に関する条件が不利で、活用もされていない傾向だった。また、公立校と国私立校の間の格差なども確認された。 <2>2022年3月に実施された現職の教員などに対する「教師の資質能力の育成等に関する全国調査」の個票データを用いて、教師の出身家庭のSESや子ども時代の経験などを含む基礎的な検討を行った。本調査も文科省の委託研究である(「令和3年度 教師の養成・採用・研修の一体的改革推進事業」の一つ)。結果の概要は、中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会基本問題小委員会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍に関する2時点の調査と現職教員調査はどちらも新しく行われた調査であるので、データの整理を含め、丁寧に基礎的な検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
データの分析を進め、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の移動制限で出張ができなかった。また、データの整理と基礎的な検討に集中したので、研究費を使用する活動をあまり行わなかった。次年度以降は学会発表を含む出張や論文執筆に関する経費を使用する計画である。
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Remarks |
松岡亮二. (2022),「第3章 進級しても変わらない格差:児童間・学校間における格差の平行推移」川口俊明編『教育格差の診断書:データからわかる実態と処方箋』 (pp. 49-86) 岩波書店. *2021年度(2022年3月)に刊行されたが前年度の実施状況報告書で未報告であるので、ここに追記する。
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