2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児の生活時間に与える保護者の意識と知恵に関する研究
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21K02337
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
泉 秀生 東京都市大学, 人間科学部, 准教授 (40633920)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保育園児 / 就寝時刻 / 生活時間 / 朝食摂取 / 母親 / スマートフォン / 外あそび |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の実績としては、アンケート調査を実施し、内容を分析した。具体的には、11月に東京都世田谷区玉川地域の保育園11園に通う1歳~6歳児369人の保護者を対象に、生活習慣に関するアンケート調査をgoogleフォームで実施した。その結果(1)遅寝・短時間睡眠の生活実態であることや、(2)朝から「あくびが出る」、「眠そう」といった様子の見られる子ども、さらには、自律起床できていない幼児、起床時の機嫌が悪い時の方が多い幼児がの存在を確認した。その他にも、(3)排便を「朝しない時の方が多い」幼児や朝食を「いっしょに食べる人がいない時のある」幼児、朝食時にテレビを「見る時の方が多い」幼児がいたため、食事に集中できる環境を子どもに用意してあげることが求められた。あわせて、(4)平均降園時刻が17時30分であったため、日中の保育園生活時間内で外あそびを行うことができるようにすれば、夜に心地よい疲労感を得られるものと考えた。 以上の結果を得て、①幼児期の子どもに必要な理論的で正しい生活時間に関する知識を得ること、②保育内で戸外で遊ぶ時間を設けること、③保護者がわが子といっしょに食卓を囲むこと、④テレビやスマートフォン、タブレットに関するルールづくりをすることが求められた。 研究計画の当初、1年目に「規則正しい生活をおくる子どものモデルケースの創出」することを考えていたが、コロナ禍で調査が十分にできなかったため、2年目も継続して調査を実施したい。そして、より多くの子どもたちのデータを集め、エビデンスに準じたモデルケースならびに啓発用の資料を創出・作成したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目の研究の成果としては、まず、当初予定していた「保育園児の生活習慣の実態と生活の工夫」に関する調査については、その前年度から手掛けてきており、無事に遂行した。具体的には、東京都内の保育園11園に通う1,000名程度の幼児の生活習慣のアンケート調査を実施し、369名程度のデータを得た。これらのアンケートについては、既に図や表にその平均値や標準偏差、人数割合などの結果を算出して可視化し、見やすい形で調査協力園ならびに保護者にフィードバックしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、まず、当初の予定では昨年度(2021年度)に終了予定の、「規則正しい生活をおくる子どものモデルケースの創出」ならびに、「家庭でできる早寝のための工夫集の作成」および、「子どもの生活を乱す注意点や事例をまとめたリーフレットの作成」を早急に進めていきたいと考えている。具体的なスケジュールとしては、遅くても2022年末までにはモデルケース・工夫集・リーフレットの作成に取り掛かる予定である。 次に、介入研究については、早めの実施を検討しているものの社会情勢の様子が変化しないことには難しいかもしれない。2022年度一杯で準備し、できるだけ早い時期での実施を目指している。生活のリズムが乱れがちな夏季休業期間ならびにお盆の時期を避け、また、運動会シーズンである10月を避けたいと考えている。さらに、生活のリズムが確立していないことが考えられ、かつ、生活時間を遅らせる誘因となりうるテレビやスマートフォン等に比較的、慣れ、親しみ過ぎていない2歳児未満を対象としようと考えている。 2022年度は、前期に講義や業務が集中しているため、前期終了後の8月上旬からは研究に取り組める予定である。それまでに、モデルケースや工夫集、リーフレットの土台となる知見を、1年目~2年目で得られたデータから導き、わかりやすい形で示したい。 当初の予定より、やや遅れているが、3年目の最終年では、この遅れを取り戻せるように今のうちから努力を重ねていきたい。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、アンケート調査で、高い回収率が望める方法を模索した結果、アンケート用紙を用いて実施してOCRで読み込むことを想定して計画していた。そのためのOCR機器、ならびに、読み込みソフトウェア、それらをつなぐパソコンの予算を見積もって申請を行った。しかしながら、1年目でそれらを購入できるだけの額をいただくことはできなかったため、アンケート用紙をgoogleフォームに変更して実施している。 2年目の使用額については、学会参加費や介入研究実施時の謝金や人件費として算出している。しかしながら、新型コロナウイルスに伴う自粛期間が長引いており、学会大会もオンライン開催が未だ多く旅費はかからないことが予想され、介入研究についても実施できるかどうかは未だ予想がつかないところである。さらに、調査の実施も自粛期間により園も外部との接触が難しい様子である。OCR機材一式も購入できていないことから、予算は余っている状態である。 今後、googleフォームによるアンケート調査の実施を広めることや、得たデータの処理・図表作成のために、1年目で購入したパソコンとは別にもう1台購入して、さらに多くのデータを集めて集計・分析していきたいと考えている。そして、介入研究の協力者を得るべく、より信頼性のあるデータや報告書を作成して広めていきたい。
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