2021 Fiscal Year Research-status Report
子どもの高齢者理解を深める福祉教育プログラムの開発と学校教育現場への応用
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21K02340
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
杵渕 洋美 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60883478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉崎 弘周 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (30612741)
菊地 克彦 聖徳大学, 文学部, 教授 (70709120)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者理解 / 学校教育 / 福祉教育 / 共生社会 / 教育プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校教育における高齢者理解や高齢者との関わり方に関する授業実践の現状を把握し、得られた情報をもとに、小・中学校における高齢者の適切な理解と関わり方に関するモデルプログラムを開発することを目的としている。さらに、プログラムの実用化に向けて、モデル校において教育効果を検証することによって、高齢者の理解や高齢者との関わり方を学ぶことのできる教育プログラムの開発を目指す。 2025年を目途に地域包括ケアシステムの構築が目指されている。社会福祉の文脈において、学校教育における福祉教育は主に「将来の地域住民」の育成を目指すものとして位置づけられている。小・中学校学習指導要領においては地域社会との連携及び協働が明示されており、高齢者との関わりが不可欠である。しかし福祉教育は目的が不明確で高齢者との交流活動の程度にとどまっている等、問題点が指摘されている。また近年の学校では入職10年未満の教員が増え、教員の世代交代が起こっている。若手教員は指導者自身が高齢者との接し方がわからないまま授業実践をしなければならない。これらの課題を解決するためには、小・中学校における福祉教育、とりわけ高齢者の適切な理解と関わり方に関するカリキュラムや指導方法の確立が急務といえる。 2021年度は、学校教育における高齢者理解に関する授業実践の現状把握のため、無作為抽出による全国の小・中学校の教員を対象に質問紙調査を実施した。質問紙調査から高齢者の理解や高齢者との関わり方に関する授業や活動の状況が明らかになった。授業・活動の実施状況のほか、実践にあたって高齢者への敬意、感謝、思いやりといった道徳的視点と、将来の地域住民の育成を目指す視点が確認できた。さらに教員が課題と感じていることとその改善策などから今後の留意点や課題を考察し、多くの示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、無作為抽出による全国の小・中学校の教員を対象に質問紙調査を実施し、その結果を学会で報告した。得られた結果をもとに、学校教育における高齢者理解に関するプログラム開発にあたり、留意すべき点、教員の抱える課題の把握とその解決に向けた取り組み、開発内容(年間指導計画、単元指導計画、指導案、教材・ツール等)等について分析を行った。この点において、当該研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、全国質問紙調査で得られた結果をもとに、また海外の高齢者福祉教育、学習理論を参考に、高齢者の理解、関わり方に主軸をおいた汎用的なプログラムを開発する。入職10年未満の教員でも活用できる、またこれまで高齢者理解に関する授業・活動を行ったことのない教員でも扱える総合的な学習の時間を念頭に置いたカリキュラムとする。年間指導計画、単元指導計画、指導案、教材・ツールまで一気通貫したセットプログラムとし、必要に応じて学校ごとにカスタマイズできるものとする。さらに、高齢者理解に関する参考資料や外部との連携方法等の資料等、教員向けの補助資料も開発対象として検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費につき、学会がオンラインによる開催となったこと、研究分担者との検討会議をオンラインで行ったことから、旅費の使用がなくなった。また人件費については、研究補助のアルバイトが当初の想定以上に作業が進行し支払金額が予定より減少した。今後、開発したプログラムを学校現場で実証講座として試行する際に必要な教材や備品に充当したい。
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