2021 Fiscal Year Research-status Report
ドイツの幼児教育施設における間接的道徳教育の研究-「基本的な生活習慣」に着目して
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21K02342
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
吉田 武男 関西外国語大学, 英語国際学部, 教授 (40247945)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ドイツ / 幼児教育 / 道徳教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、道徳性を浸透させた「基本的な生活習慣」の形成の方法をドイツに見られる「生活基盤型」の幼児教育から紡ぎ出すことである。その目的を達成するために、「文化高権」を特徴とする連邦国家のドイツを鑑み、各州の中から代表的な州を選出し、そこでの実践の理論と実践について、日本のいくつかの異なった幼児教育施設(例えば、幼稚園、保育所、認定こども園、認可外施設などを含む)との対比によって幼児期における間接的な道徳教育の内容と方法を解明するものである。 具体的には2021年度中に、まず各地における日本の幼児教育施設(幼稚園と保育園と認定こども園)の実践について調査し、「基本的な生活習慣」の下位概念を見出したうえで分析枠組みを作成するとともに、抽出したドイツの各州の幼児教育施設の実践を予備調査的に把握することであった。 ところが、新型コロナ感染のパンデミックが終息しないため、ドイツへの渡航のみならず、国内の現地調査も十分にできない研究状況が発生した。その状況を踏まえ、ネットの活用と文献の収集を通して、さまざまな現地の情報を入手し、当初に想定していた成果に及ばなくても、できる限りの方法を駆使して、それに近づけるように研究を推進した。その結果、「下位概念」の作成には、国内では、これまで研究の射程に入れてこなかった認可外施設の実践が参考になることを新たに確認した。また、ドイツでは、カトリックを宗教の基盤に置く南ドイツの地域よりも、プロテスタントを中心にしつつもキリスト教以外の宗教が混在し、そして移民の多い北ドイツの地域の方が、これからの研究を続けていくうえで、より適切であることも確認できた。 しかし、新型コロナ感染の影響で現地調査ができなかったために研究の進捗状況が遅れてしまい、研究成果の一部を公表するところまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実際の現場に出向いて研究を行うことを主眼に置いていたところ、地球規模の新型コロナ感染によって、ドイツのみならず、日本国内外においても、実際には幼児教育施設を訪問・観察しながら現地調査を十分に行えなかったことは、研究の推進に大きな影響を及ぼすことになった。 もちろん、研究を遂行するために、ネットの活用(ホームページの閲覧とe-mailなどの連絡)と文献(書籍や論文)の収集を通して、実際にさまざまな現地の情報を入手することができた。とりわけ、国内の調査に関しては、国外のドイツと異なり、施設の関係者から直接的なインタビュー調査もできたために、予備調査的な研究については、それなりに進められたことは幸いであった。特に、国内における認可外の幼児教育施設の調査は、これからの研究の枠組みを作っていくうえで、大きな成果となるものであった。その点から言えば、国内の幼児教育施設の研究は部分的には進展したものの、科研費申請時に想定していたドイツの現地調査を行うことができなかったために、実際的には研究全体の進捗状況は、遅れることとなった。 また、2021年度においては研究成果は目に見える形では現れるところには至っていないけれども、国内外の現地の幼児教育施設やその関係機関とも、訪問はできないものの、つねに連絡を取り続けることによって、研究を遂行するうえで基盤となる幼児教育施設との円滑な関係性が築かれ、研究に必要不可欠な基礎的情報を得ているために、今後に置いて研究の進捗状況は飛躍的に改善されることはあっても、これ以上に遅れることはない。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度については、既述したように、国内外の新型コロナ感染の拡大によって、研究の進捗状況は遅れることとなった。その状況を踏まえ、2022年度以降においては、2021年度の遅れに対する対処とともに、当初から想定されていた計画を遂行できるように、効果的で効率的な計画の修正と実施を図っていきたいと考えている。 特に、ドイツに渡航できなかったために、国外の研究は当初の予定からかなり遅れざる得なかったが、それに対して国内の幼児教育施設の情報については、国外の研究に費やす時間を結果的に国内の研究に費やす時間が確保されることになり、申請の時にはあまり気に留めなかった国内における認可外の幼児教育施設の実践が大いに注目されるべきであることを確認した。そのために、研究課題について今後の大きな変更はないが、研究の過程において、国内に関しては、認可外の施設に対してこれまで以上に注目しながら、2021年度にできなかった国内の幼児教育施設の現地調査を、新型コロナ感染状況を睨みながら、早急に行ったうえで、2022年度に想定していた本格的な調査も行いたいと考えている。その際に、効果的で効率的な調査が実施できるよう、研究計画の修正と実施を行いたい。 また、国外調査も、国内調査と同様に、研究計画の若干の修正と実施を行いたいと考えている。特に、研究協力者とともに、効果的で効率的な調査が実施できるよう努力するとともに、2021年度にできなかった研究の成果を公表するとともに、2022年度の新しい研究の成果も公表したい。 さらに、最終年度に当たる2023年度には、補足的な追調査を行うとともに、研究成果を公表する。ただし、新型コロナの感染状況によって、ドイツの現地調査が十分に行われず、研究課題の達成ができない場合には、研究期間の延長申請も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染の広がりによって、国内外における現地調査、とりわけドイツの代表的な各州の現地調査を実施できなかったことが大きな理由である。次年度においては、前年度にできなかったことを実施したうえで、科研費申請時において想定していた次年度の研究を推進させたいと考えている。ただし、2年度にわたる研究計画をそのまま1年以内に実施することは時間的に困難であるため、効果的で効率的な研究計画に一部修正しながら推進していきたいと考えている。特に、現地調査の方法については、十分に検討したうえで工夫しながら行う予定である。
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