2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K02353
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨樫 健二 三重大学, 教育学部, 教授 (10227564)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥満小児 / 長期予後 / 内臓脂肪面積 / 血液生化学値 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は小児期の腹部脂肪分布、血液生化学値を含んだ肥満の病態が、成人期の心血管系リスクに及ぼす影響を検討するため、小児期に肥満の治療を受け成人期に再検査を希望した57名(男性39名、女性18名)に対し採血、腹部CT撮影を含んだ臨床検査を実施した。小児期の年齢、肥満度は9.8±1.9歳、44.0±14.7%、成人期の年齢、BMIは34.4±12.4歳、28.8±11.8であり、平均経過年数は24.6±11.8年であった。成人期に肥満を解消していた者は18名(31.6%)、継続していた者は39名(68.4%)であり、肥満継続群は解消群に比べ内臓脂肪面積、収縮期・拡張期血圧、中性脂肪、non-HDLC、血糖値、AST、ALT、尿酸値において有意に高値を示した(P<0.05)。 小児期のウエスト径と成人期のウエスト径の間にr=0.387(P<0.05)の有意差が認められた。一方、小児期の肥満度、ウエスト径、腹部脂肪分布指標と成人期の生活習慣病に関わる指標とは概ね相関を示さなかった。血液生化学検査において小児期のAST、ALT、尿酸値、血糖値は成人期の同項目間で有意な相関を示さなかったが、総コレステロール(r=0.406, P<0.05)、トリグリセライド(r=0.519, P<0.001)、LDLコレステロール(r-0.558, P<0.001)、HDLコレステロール(r=0.604, P<0.001)、non-HDL-C(r=0.517, P<0.001)といった脂質系の項目では同項目間で有意な相関関係が認められた。 以上の結果より、小児期の体格指標から成人期の心血管系リスクを予想することは難しいが、中性脂肪やHDLコレステロールなどの血中脂質からは成人期の心血管系リスクを推定できる可能性が示唆された。
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