2021 Fiscal Year Research-status Report
アフターコロナ時代における保育士の新しいメンタルヘルス対策の実行手法の検討
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21K02359
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
伊勢 慎 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (30554076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 憲一郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (80620880)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アフターコロナ / 保育士 / メンタルヘルス対策 / 心理社会的支援 / ストレスマネジメントプログラムの作成 / インタビュー調査 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コロナ禍における保育士を対象とし調査、研究を行い、アフターコロナ時代における保育士の新しいメンタルヘルス対策の実行手法について検討することを目的としている。 エッセンシャルワーカーとしての保育士は、コロナ禍においても子どもや保護者と関わり続けることが求められた。今まで体験したことのない過酷な状況において保育士が直面した問題、ストレス、保育園の運営の在り方について心理社会的な観点から分析し、そこに生じた問題を明らかすることが必要である。それを受けて保育士の心理社会的支援の在り方を検討し、効果研究を実施し、今後もコロナ禍が継続し、繰り返す可能性もある中で、早急に保育士のメンタルヘルス対策を提案する。 2021年度(~2022年度)は、保育現場の保育士がコロナ禍においてどのような体験をして来たかに関するインタビュー調査を2件行い、内1件については国際幼児教育学会で研究発表を行った。もう1件は、2022年度5月に日本保育学会で研究発表を行う。また、質問紙調査を2度実施し、分析を行っている。具体的には、デルタ株が流行した後に300名を対象とし、コロナ禍における職場におけるストレスと、私生活におけるストレスについて尋ねたものが1度目である。また、その後オミクロン株が流行し、乳幼児へのり患者が増え、保育所、保育園が休園する状況を踏まえ、新たに300名を対象に2度目の質問紙調査を実施した。引き続きインタビュー調査、質問紙調査を実施すると共に、分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度において、実施予定であった保育士を対象としたインタビュー調査、質問紙調査を概ね行うことができた。 インタビュー調査は、2件の実施であり、2022年度も継続し実施する。分析においても2件とも進んでおり、以下の知見を得られた。・開園し続けないといけないという社会的使命と、自身が感染してしまうのではないかというリスクの不安感を持っている。・開園することは、市や県、または国がどのような方針を打ち出すかによって変更される可能性を孕んでいる不安感がある。・密になる可能性のある対面で集まりコロナ以前より多くの会議を行わなければならない実態があり、社会的なコロナ禍の状況とは真逆であった。・行事については0歳児から5歳児まで一緒に行わなければならなかったという価値観から脱却することができるチャンスと捉えていた。・主任、または園のリーダーは、保育士の負担感の増加に伴うネガティブな「気持ち」に寄り添い、提案役、軽減役を担う必要性が生じている。・保育士、子ども、保護者の3者すべての立場で、それぞれの満足度が向上する取り組みの提案及び、思考する必要性が生じている。・コロナ対策は、命を守るために必要であるが、ネガティブな対策ではなく、園、保護者にとってポジティブに働く対策を取る必要性が生じている。 質問紙調査は、2度実施しており、それぞれデルタ株、オミクロン株の流行後に各300名を対象としている。2021年度は、デルタ株流行後のデータを対象に分析を行っており、得られたデータは自由記述であるため、KJ法を用い分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、引き続き質問紙調査の分析を行うと共に、インタビュー調査を継続的に実施し、コロナ禍という過酷なストレス状況において、保育士にとって精神的、肉体的なサポート資源になったものを考察する。 上記考察から得られた知見をもとに、コロナ禍における保育士のストレスの心理測定尺度を開発し、妥当性、信頼性の検討を行う。 加えて、考察し得られた心理社会的資源・特性と開発した心理測定尺度を含めた質問紙調査を実施し、パス解析によってコロナ禍において、精神的健康を保つのに役立った心理的特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の状況において、海外での国際発表の実施ができなかったため、次年度使用額が生している。次年度は、コロナ禍の状況、国際学会の開催の情報を収集するとともに、可能な限り本研究の知見について国際的に発表する計画とする。
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