2021 Fiscal Year Research-status Report
昭和初期の保育者養成機関における教育内容と生徒の力量形成過程に関する歴史的研究
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21K02367
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Research Institution | Nagoya Ryujo Women's University |
Principal Investigator |
青山 佳代 名古屋柳城女子大学, こども学部, 准教授 (40372536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 聡子 名古屋柳城女子大学, こども学部, 講師 (30747332)
村田 あゆみ 名古屋女子大学, 文学部, 准教授 (50633244)
片山 伸子 名古屋柳城女子大学, こども学部, 准教授 (70425015)
豊田 和子 名古屋柳城女子大学, こども学部, 教授 (80087915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保育士 / 保育者養成 / プログラムノート / 昭和初期 / 実習指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昭和初期から戦前までの保育者養成の展開に関する歴史的研究である。柳城保姆養成所の教育内容に注目し、そこで学んだ生徒の力量形成の過程に焦点を当てたものである。 令和3(2021)年度、私たち研究グループは、カナダ聖公会宣教師によって移入されたフレーベル主義による保育者養成を行なっていた柳城保姆養成所で生徒たちが残したノート(昭和5年度)の分析を行った。 分析結果は日本保育学会第75回大会(令和4年5月)で「昭和初期の保育者養成機関における教育内容と生徒の力量形成過程に関する歴史的研究(1)」としてポスター発表を行った。昭和5年当時、同養成所では、少人数体制による保育者養成が行われていた。それぞれ生徒に対して充分な実習時間と場所が提供されており、そのことによって生徒の力量が高められたと考えられる。さらに、当時の所長であったボーマンの寄稿や生徒による「プログラムノート」の記述の丁寧さをみるに、同養成所では、授業内でしっかりと週案の立案に関する指導を行い、生徒もその指導を熱心に受けていたと考えられる。同養成所での授業内容が実習園での実習に生かされており、同養成所が「理論と実践」の往還を非常に大切にしていたことが明らかとなった。 加えて、戦間期から戦後15年の約40年間にわたって、愛知県の幼児教育の振興に寄与したフランセス・B・ホーキンスに関するオープンリールの発掘に成功し、テープ起こしをおこなった。このテープ起こしによって、柳城保姆養成所の歴史的変遷を確認することができた。この録音は、(歴史資料)「愛知県における幼児教育の振興に寄与したフランセス・B・ホーキンス―愛知県表彰を記念したラジオ番組「あたたかき愛の物語」について―」と題して、名古屋柳城女子大学『研究紀要』第2号(2022年3月)として投稿をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目の計画は、学校法人柳城学院の歴史資料室にある明治期から第二次世界大戦前の資料の整理・分析を行うことであった。 柳城保姆養成所の生徒による授業ノート(「プログラムノート」)の分析は実施できたが、そのほかの資料の電子データ化、分析を順調に進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、同学院に所蔵された資料の電子データ化を迅速に進め、さらには外部期間(名古屋市役所、愛知県庁、その他戦前までに創設された園)と同保姆養成所との関連がわかる資料の検索、訪問調査を行いたい。そのために、資料整理のアルバイトを雇用することとする。 コロナ禍が収束し、カナダへの入国条件が緩和されれば、カナダにおけるフレーベル主義の保育者養成の源流であるハミルトン師範学校の歴史資料の収集のために、現地調査も実施したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、調査研究の進捗が鈍かったため。
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