2022 Fiscal Year Research-status Report
子どもの主体としての心を育む移行期保育とは-スウェーデンからの示唆を得て-
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21K02370
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
吉次 豊見 関西学院大学, 教育学部, 助教 (00614877)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 入園時保育 / スウェーデン / 慣らし保育 / 慣れ保育 / 移行期 / inskolning |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス禍により延期していた、スウェーデンにおけるフィールドワークを当該年度は実施することができた。具体的には就学前保育施設の新年度がスタートする8月に訪瑞し、1歳児の新入園に伴うinskolning(新入園移行期保育)の実践について以下の点の把握・分析を行なった。①人権尊重・生命の保持及び情緒の安定を図る養護的観点②学びの芽生えを育み、育ちの連続性を確保する教育的観点③子どもの主体としての心を育む観点、これらの3点について保育者へのインタビュー・ビデオ撮影に加え、申請者がその場で感受した子どもと保育者との関係性もエピソード記述法による間主観的アプローチを用い把握した。 同就学前学校では進級に伴う3歳児クラスへの移行実態調査も合わせて行なった。日本でも保育所における2歳児クラスから3歳児クラスへと進級する際の移行期の保育は環境の変化が大きく様々に課題が見られるが、スウェーデンの就学前学校では1クラスの保育者数・園児数において特別な変化は見られず、主には2ヶ月間という長期の夏季休暇明けの登園に慣れていくことが重視されていることが窺えた。 また研究計画では予定していなかったが、保護者へのインタビュー及び行政資料から日本の地域子育て支援センターに該当する「公開保育室」が就学前学校の入園に際して、保護者・子どもにとっても有効であることが示唆されたため、現地調査を実施し、保護者及び職員へのインタビューを実施した。 これらの研究については、日本保育学会大会及び国際幼児教育学会にて成果を発表予定であり、論文化したものを現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スウェーデンにおける調査が1年度遅れたため、事例の収集が予定よりも少なくなっている。またその結果として国内での調査に至ることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.スウェーデンにおける調査 (転・入園時のinskolningの実態調査)昨年度は地方都市における調査が主になったが、今年度はストックホルムなどの都市部における調査を実施する予定である。特に就学前学校における3歳児前後の新入園もしくは転入園に伴うinskolningの実態を把握する。調査は引っ越し等に伴う転園が多く発生する8月に実施するが、転入園児受入れ状況によっては別時期に調査を実施する。 (進級・クラス替えに伴う3歳児クラスへの移行実態調査の継続)今年度も同年齢でクラスが構成されている就学前学校において、3歳児クラスへと進級する際の移行期保育について継続的に調査を行う。これは新学期における調査となるため、上記の転入園児inskolningと同時期に各園で調査を実施する。 (公開保育室と就学前学校への接続に関する調査)就学前学校への入園移行に際して公開保育室の役割も大きい点が前年度の研究から示唆された。今後は調査視察を拡大し、更に具体的な事例を収集分析を行う。 2.日本における移行期保育の実態整理:①0~5歳児が在園する保育施設での3歳児クラスへの移行期、②2歳児までが在園する小規模保育施設を卒園し3歳児に別施設へ入園する移行期、この2点の実態を把握するため各保育施設へ調査を実施しその内容・配慮事項等を収集する。
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Causes of Carryover |
スウェーデンでのフィールドワークが中心となったため、物品・消耗品の使用を行わなかったため。次年度は国内での調査及び書籍の購入が必要となる。
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Research Products
(1 results)