2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児の転倒時に手をつき顔を守る動作学習のための保育者の四つ這い位運動指導法開発
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21K02393
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐近 慎平 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (70570589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 浩 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (20375463)
西原 康行 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (50339959)
杉崎 弘周 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (30612741)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 四つ這い(高這い)走 / 幼児 / 転倒時の顔面外傷予防 / 環境構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では四つ這い位運動を用いて幼児の転倒時の顔を守るために手をつく動作の指導法の確立【課題1】,保育者による幼児の転倒時の顔を守る動作の指導法の確立【課題2】,保育者の運動指導の機会拡大【課題3】を解決し,保育者による幼児の転倒時に顔を守る力の指導法について明らかにすることを目的としている. 令和3年度は【課題1】幼児の転倒時の顔を守る力の指導法の確立のため,(実験1)「四つ這い位の四肢走行によるバランス不安定状態創出時の四肢協応動作の類型化」を実施した.保育園5歳児・4歳児25名を対象にとして,四つ這い位の四肢協応運動(走行)をビデオカメラで側面から撮影し,四つ這い位の四肢協応運動(走行)を上肢下肢の地面への接地・離地を基準として動作分析し,①「2点支持・交差:Pace」,②「2点支持・片側:Trot」,③「1点支持:Single」,④「3点支持:Triple」,⑤「跳び:Gallop」の5種類に類型化した.次に,不安定な状態「1点支持:Single」の出現状況を把握するために,幼児の四つ這い(高這い)走時の「2点支持・片側:Trot」から始まり,「2点支持・片側:Trot」に帰着するまでの一連の動きにおいて,①「2点支持・交差:Pace」27.9%,②「2点支持・片側:Trot」42.3%,③「1点支持:Single」15.3%,④「3点支持:Triple」14.4%,⑤「跳び:Gallop」0%であった.四つ這い(高這い)走の初期段階では「1点支持:Single」は「CEA(右手右足→右手→右手左足)」サイクルで出現する傾向があり,四つ這い(高這い)走時に不安定な状態「1点支持:Single」時に転倒しないように調整している様子が確認された.このサイクルは顔面外傷を予防する際に手をつく動作の学習要素と考えられる.以上の成果は国内学会等で発表,投稿し一定の評価を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,保育現場での介入は制限されたが,大学附属こども園で感染予防を徹底し,定例の運動指導に加え,担任等とICTを活用した連携により計画通り実施できた. 令和3年度は【課題1】幼児の転倒時の顔を守る力の指導法の確立のため,(実験1)「四つ這い位の四肢走行によるバランス不安定状態創出時の四肢協応動作の類型化」を実施した.保育園5歳児・4歳児25名を対象にとして,四つ這い位の四肢協応運動(走行)をビデオカメラで側面から撮影し,四つ這い位の四肢協応運動(走行)を上肢下肢の地面への接地・離地を基準として動作分析し,①「2点支持・交差:Pace」,②「2点支持・片側:Trot」,③「1点支持:Single」,④「3点支持:Triple」,⑤「跳び:Gallop」の5種類に類型化した.四つ這い(高這い)走の初期段階では「1点支持:Single」は「CEA(右手右足→右手→右手左足)」の片側から下肢で蹴り出し,上肢1点で支え,交差に帰着するサイクルで出現する傾向があり,四つ這い位(高這い)走の発達を促すための構成要素を抽出できた. 保育者による幼児の転倒時の顔を守る動作の指導法の確立のために,「1点支持:Single」の環境構成を開発し,保育者自身がプレテストとして実施した.主な環境構成は,巧技台付属のボルダボード,簡易的に実施できる床ボルダリングを考案し,研究協力保育園で実践した.プレテストの結果は,幼児のMKS幼児運動能力検査に基づき評価した結果,体支持持続時間等の運動能力向上が確認された.四つ這い位(高這い)運動は,現代の幼児が抱える体力向上への課題の解決要因の一つとして,有効である可能性が示唆された,引き続き,研究を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,令和3年度の研究結果である,四肢協応運動(走行)の類型,①「2点支持・交差:Pace」,②「2点支持・片側:Trot」,③「1点支持:Single」,④「3点支持:Triple」,⑤「跳び:Gallop」,四つ這い(高這い)走の初期段階では「1点支持:Single」は「CEA(右手右足→右手→右手左足)」の片側から下肢で蹴り出し上肢1点で支え交差に帰着するサイクル,四つ這い位(高這い)走の発達を促すための構成要素を踏まえ,【課題2】保育者による幼児の転倒時の顔を守る動作の指導法の確立(2022~2023)のために,(実験2)「同一法人保育園2園で比較試験」を実施する.申請者が新型コロナウイルス感染症蔓延前に体育指導に行っていた研究協力保育園において介入群(四つ這い位の四肢協応運動による重心移動を伴う体幹の捻転動作を学習する環境設定),対象群(四つ這い位の四肢協応運動の体幹の捻転が少ない環境)の比較試験を実施する.【課題1】の研究成果から比較実験要素の「捻転」に加え,「1点支持:Single」による重心支持(荷重)が転倒時の顔を守る動作学習の要素であるため,新たに介入群の環境構成に加える.具体的には,令和3年度のプレテストで得られた研究結果,巧技台付属のボルダボード,簡易的に実施できる床ボルダリングを中心に構成する.同一法人保育園2園で比較試験を予定しているが,新型コロナウイルス感染症に対応し,対象法人との調整が重要であり,幼児の最大の利益を尊重して,実験は柔軟に検討する.現在,対象法人とは,実験機器等を郵送しリモート指導の下,実験を行う方法も検討しており,新型コロナウイルス感染症過においても滞りなく,研究が推進するよう方略を練っている.
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】新型コロナウィルス感染症のまん延により,研究対象保育園への入構が制限,学会はオンライン開催され,旅費の支出が見送られた。対象園での入構制限により,実験機器の購入を一部見送ったため. 【使用計画】繰越額は、次年度分の設備備品費と合算した上でリモート指導用機器関連部品の購入費に充てるとともに、昨年度,購入計画に合った実験機器の購入,一部を成果発表・研究動向調査のための旅費・参加費に補填する。
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