2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育における「10の姿」の可視化と共有化を見据えた協働型アクションリサーチ
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21K02397
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Research Institution | Mimasaka University |
Principal Investigator |
薮田 弘美 美作大学, 生活科学部, 准教授 (60805795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 真姫 環太平洋大学, 体育学部, 准教授 (30780019)
吉澤 英里 星槎道都大学, 社会福祉学部, 准教授(移行) (80616029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 10の姿 / バランスシート / クラメール / ラーニングストーリー / 半構造化面接 / アセスメントシート / 幼保小接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育園、森のようちえんの子どもたちの「10の姿」の可視化を目指し、試験的な評価・分析を行った。この分析から①(これまで質的に【文章で】表現されていた)子どもたちの姿を量的に【数で】表すというのがどういうことなのかを示し、②量的な指標を用いて各場面の違いを示したいと考えた。結果、量的に(数で)子どもたちの姿を捉えるよう試みた。数値化することで、レーダーチャートのようなグラフを描くことができたり、折れ線グラフのように、評価者による傾向の違いがはっきり見えた。 分析1の量的な観察や計測データに加えて、質的なラーニング・ストーリー(Learning Story)から「10の姿」の評価の可視化を試みた。Learning StoryとはニュージーランドのMargaret Carr氏らが提唱した保育記録に基づく評価方法であり、その特徴は、5つの領域からなる「学びの構え」に基づき保育記録を評価する。また、Learning Storyは、個々に何をどのように学んだかを記録する。保育を記録することは、意識的に言語化、可視化しようとする行為だと考える。その記述方法を統一化することにより「10の姿」の共有化につながると考える。 また、「10の姿」に着目し、保育士の「10の姿」を視点とした保育方法等の特徴を検討した。 以上3点の調査を基に、アセスメントシートを試作した。アセスメントシートは、「10の姿」を共通認識したうえで同じ視点で評価するシート(子どもの学びをみとり、「10の姿」に分類し記録するためのシート)である。「資質・能力」が乳幼児期から小学校以降へと育っていくものと捉え、それをチェックする窓口が「10の姿」だと考える。その「10の姿」が共通に可視化したものがあれば、小学校への移行も円滑だと考え提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染症拡大により、研究者の県外移動が出来なかったため、①子どもの活動場面のビデオ記録をフィールド調査対象施設(ちづ保育園・森のようちえん1園)にお願いする。②姿勢測定が森のようちえん1園実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
<調査1>子どもの姿の観察・評価(担当:薮田・前川)では、自然観察法にて、子どもの活動場面(背景、行動の内容、働きかけの対象)を、カメラ1台で記録する。観察場面は、1年生の生活科の授業と長休憩または給食後の遊び(要相談)としたい。記録映像をもとに評価用のビデオ映像を作成する。デジタルカメラにて子どもの立位姿勢を撮影し身体配列を評価する。さらに、立位時のバランス能力や筋活動を評価する。これにより、子どもの姿勢の発達を明らかにできる。<調査2>Learning Story作成(担当:薮田)では、申請者がビデオ映像を視聴し、Learning Storyを作成する。<調査3>半構造化面接(担当:薮田)では、担任への質問項目は、①日々の子どもたちの姿、②「10の姿」の姿を意識した保育、③「10の姿」の保育計画への位置づけ、④「10の姿」の評価方法とする。 <質的・量的評価>(担当:薮田・吉澤)では、量的評価:担当保育者と研究者がビデオ映像を視聴し、指定された場面で表れる「10の姿」を評価する。場面ごとに、「10の姿」の出現回数および保育者間の一致率を算出する(令和3年度と同じ方法)。質的評価:保育者間の一致率が低い場面と高い場面のLearning Storyや面接結果を分析し、各保育者のどのような視点が、「10の姿」の評価に影響を与えるのか考察する(令和3年度と同じ方法)。令和3-4年度の評価をもとに、①評価者による「10の姿」の捉え方の違いと、②子どもたちの成長(時間的変化)を明らかにする。 <検証 1>保幼小接続のための協働システムの構築(担当:薮田・吉澤)では、令和3-4年度の調査結果をもとに、研究拠点の保育者、小学校教員、行政担当などの研究協力者とワークショップを行い、「10の姿」の評価の観点の可視化および共有化を図り保幼小接続のための協働システム(クラウドサービス)を構築する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の拡大により、研究者がフィールド調査を行えなかったため、次年度、フィールド調査、ワークショップを実施する予定である。
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Research Products
(2 results)