2023 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスに基づいた子ども理解のための観察法の開発-ICER-Rを活用して
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21K02406
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中橋 美穂 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30291876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 美里 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 准教授 (80626747)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子ども理解 / エンゲージメント / 観察法 / ICER-R |
Outline of Annual Research Achievements |
「エビデンスに基づいた子ども理解のための観察法の開発-ICER-Rを活用して」研究の3年目は、①ICED-R(J)の作成、②研修教材(VTR)の作成、③保育者を対象としたエビデンスに基づく保育実践サイクルを実施するための事前トレーニングの三点に取り組み、一定の成果があげられた。 ①については、2022年度に共同研究者でICER-R開発者のKishida氏、研究分担者及び研究協力者である附属幼稚園の教諭らと協議を行い作成されたものを、実際の研修で使用し、違和感なく使用されることが確認できた。ICER-Rのマニュアルの日本語版作成についても、最終版作成を行う。 ②については、2022年度からの継続した取り組みである。研修で使用するVTRは、一人の子どもに着目しながら5分程度の映像教材で、a:自由遊びの場面、b:一斉活動の場面、c:生活活動の場面など3場面のバランス、観察項目(4つの関わり・人との関わり・ 身体的プロンプト)の出現数のバランスなど、観察法の習得に適した映像教材となる必要がある。研究代表者と研究分担者でVTRを収集し、それを共同研究者のKishida氏と3人で精査し、9本のVTRを選出した。しかしながら、コロナの影響がなくなったわけではなく、子どもたちがマスク着用であることなど、映像教材作成に課題は残った。 ③については、保育者を対象としたエビデンスに基づく保育実践サイクルを実施するための事前トレーニングを行った。観察法の指導及び②で作成・精査したVTRを用いて、5名の保育者の協力のもと実施した。4時間の事前トレーニングの中で、参加者5名のICER-Rを用いた観察のためのスキルは、おおよそ習得できている結果となった。なお、今回は5分の観察であるため、今後10分の観察における一致度は確認していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、前年度に実施した保育者及び学生を対象としたICER-R(J)を用いた事前トレーニングに続けて、その信頼性を検討するとともに、保育者を対象としたエビデンスに基づく保育実践サイクルを実施する予定であった。しかしながら、保育者の信頼性の検討は行えたが、保育実践サイクルの実施及び学生を対象とした信頼性の検討が実施できなった。その理由は、観察法の習得に適した映像教材を十分に準備することに時間を要したためである。必要な映像教材は、一人の子どもに着目しながら5分程度の映像教材で、a:自由遊びの場面、b:一斉活動の場面、c:生活活動の場面など3場面のバランス、観察項目(4つの関わり・人との関わり・ 身体的プロンプト)の出現数のバランスなどが適切に取れていなければならない。新型コロナウイルス感染症の影響が残るなか、最低限の9本のVTRを揃えることが難しかったことが、当該研究にやや遅れが出ている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、保育者を対象としたICER-R(J)を用いたエビデンスに基づく保育実践サイクルを主軸に実施し、ICER-R(J)に対する評価・研修計画の評価、そしてICER-R(J)を用いた子ども理解のための研究調査の総合考察を行う。そのため、令和6年度前半は、保育者を対象としたICER-R(J)を用いたエビデンスに基づく保育実践サイクルに取り組む。また、その際に、ICER-R(J)の観察評価シート及び日本語版マニュアルの最終版作成を目指す。もう一点は、本研究調査の総合考察を行い、その成果を学会発表、論文投稿等による公表の準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画に遅れが生じているため。次年度において、エビデンスに基づいた保育実践サイクルの実施及び成果の公表等において、物品費、旅費、人件費・謝金等での使用を計画している。
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