2022 Fiscal Year Research-status Report
学童期から思春期の子どもの小児がん医療における意思形成過程の解明と支援方法の開発
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21K02409
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
道信 良子 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70336410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80404664)
五十嵐 敬太 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70580017)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児がん医療 / 意思決定 / 協働意思決定 / エスノグラフィ / ヘルス・インタビュー / 多様な子育て・子育ち |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の調査(5歳から12歳までに小児がんを発症し、半年以上の入院生活を経験している子ども12人を対象とする観察研究) を継続し、これまでに蒐集した資料(日本語で877,000文字)を質的に分析した。テーマ分析から導かれた30のサブコードと5つの包括的テーマに基づいて、小児がんの意思決定支援の枠組みと方法について検討した。その結果は、国際小児がん学会、日本小児血液がん学会において発表した。北海道の地域の病院で退院後の小児がんの子どもを診察している医師にインタビューを行い、子どもの意思決定支援の現在の状況を確認した。研究参加者の子どもの家族にもインタビューを行い、多様な子育ち・子育てを支える地域の資源に関する示唆を得た。子どもに向けた「小児がん医療の意思決定」の教材を画家の協力を得て開発を進めた。小児血液がん学会では、次のとおり、報告した。子どもの意思決定の支援には、子どもの権利やアドボカシーの視点から、子どもの思いを傾聴しようというものが多い。その思いが実際にどのように日々の行動にあらわれているのかを具体的に見てみると、子どもたちが、自分の身体づくりを行い、身体づくりを通して、自分の望むこと、できることを増やしていったことがわかった。子どもが治療を受けているあいだも、理学療法、運動療法などの介入によって、身体づくりを応援するようなかかわりが重要である。国際小児がん学会では、子どもにとっての協働意思決定と医療参加は、小児がん医療の一員となり、自分の身体をケアし、できることを増やし、成長していく過程であることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
小児病棟の医師や研究参加者の協力のもと、資料収集と分析をスムーズに行うことができたので、国際学会発表や教育冊子作成を前倒しして、進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は予定通り進める。新型コロナウイルス感染症対策もふまえながら、短い時間の対面や、遠隔で継続的に資料を集める。研究参加者の子どもと家族との共同で、小児がんの子ども向け教材を作成し、意思決定支援の学習会を小学校で行う。学習会における活動状況や態度の観察、学びのプロセスや成果を計画的に集約するポートフォリオなどを用いて、学びの効果を評価する。子ども・家族・医療者が、双方向で開かれた関係性をつくり、自由な対話やディスカッションも取り入れて、子ども支援の新たな価値の創造をめざす。本研究で導いた意思決定支援の方法について、世界の研究者・医療者と議論し、国際社会に発信する。新型コロナウイルス感染症対策もふまえながら、短い時間の対面や、遠隔で継続的に資料を集める。
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Causes of Carryover |
治療の意思決定支援ツールを二年契約する予定であったが、一年契約になったため。資料保存・分析用に購入したパソコンのオフィスのプログラムの入荷が遅れたため。いずれも今年度の早期に契約・購入し、計画通りの予算執行と研究再開を目指す。
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