2023 Fiscal Year Research-status Report

乳児保育の質向上を支える対話型園内研修の検討：「食」を通した包括的な園理解から

Research Project

Project/Area Number	21K02412
Research Institution	Showa Women's University
Principal Investigator	遠藤純子昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (00634297)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	小野友紀大妻女子大学短期大学部, 家政科, 准教授 (70574903)
Project Period (FY)	2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords	園内研修 / 乳児保育 / 協働 / 保育の質 / 多職種連携
Outline of Annual Research Achievements	本研究では乳児保育の食をテーマにした園内研修において対話を通した協働プロセスの有効性を検証することを目的とする。分析対象園における乳児保育の食を取り巻く状況を質的アプローチから包括的に捉えた上で、園内研修において対話を通した学び・協働のプロセスを事例的に描き出すことで、園の実情に応じた自律的な質向上への取組を支える支援のあり方を提案する。 2023年度は、保育所（B園）において、園理解のための調査：計3回（2023年5月、10月、2024年3月）、園内研修：計3回（2023年7月、11月、2024年2月）を実施した。園理解のための調査では、1回目調査（5月）として、食事場面を中心とした観察、園長・副園長・栄養士へのインタビューを行うとともに、職員を対象にアンケートを実施した。その結果を踏まえ、園の強みである多職種連携を生かしつつ、職員間の思いを共有し、相互理解を深めることを目的とし、乳児保育の「食」をテーマに園の特色「一人ひとりに寄り添った丁寧な保育」を考えることを目的とした対話型園内研修を実施した。3回の研修の進行と並行して、2回目調査では保育士・栄養士を対象としたインタビューを、3回目調査では園長・副園長・栄養士を対象としたインタビューを実施し、食をめぐる園内の連携の状況と課題を把握した。園内研修での対話の分析からは、実践を肯定的に認め合う対話の中で、実践の中にある「意味」が明確化されることで、共通の方向性を認識し、園の信念体系に立ち返る機会となっており、そこには共感的な対話を生み出しうる園文化の存在が推察された。 2024年度は、職員間の対話を支える職場の土壌・文化がどのように形成されてきたのかを視点に、2023年度に実施したインタビュー結果の分析を行う。2022年に調査園であったA園の結果とあわせ、調査各園における協働プロセスについてのモデル生成を行う。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 初年度の2021年度にコロナ流行下の影響で調査・園内研修を開始できなかったため、一年遅れての進行となり、当初の予定よりも遅れている。
Strategy for Future Research Activity	2024年度の研究予定として、2023年度に収集したインタビューデータについて共感的な対話が実現しうる園文化の形成プロセスを視点に、TEAを用いた分析を行い、対話型園内研修が有効に作用する背景の解明を目指す。また、2022年に調査園であったA園の結果とあわせ、調査各園における乳児保育の食をめぐる協働プロセスについてのモデル生成を行い、学会発表、論文執筆をする予定である。
Causes of Carryover	新型コロナウイルス感染症流行の影響により2021年度に調査実施に係る旅費・謝金等の殆どを執行することができなかった。また、2022年度、2023年度は予定参加学会がオンライン開催となったため、旅費の未使用分が生じた。未使用分は、音声データの文字起こし、2024年度学会参加の支出に充てる予定である。