2021 Fiscal Year Research-status Report
音楽発達のエコロジーの解明に向けた音具の開発と実践への応用に関する研究
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21K02416
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
丸山 慎 駒沢女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60530219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶川 祥世 玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (70384724)
金箱 淳一 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (20586185)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音楽発達 / 共遊楽器 / 創作音具 / 多感覚性 / 生態学的アプローチ / アフォーダンス / 認知・社会的発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,活動データの収集が可能な「創作音具」を使用した観察・実験をもとに,乳幼児期の子どもの音楽的な行動の発達を物理的および社会的な資源との関わりから捉えることである。本研究では以下の4点を主な検討事項とする:(1)創作音具に対する探索行動から,リズムや音高のまとまりといった音楽的なパターンを伴う行動への変化の過程を可視化する。(2)音楽的な行動の発達に影響を及ぼす要因について,探索行動の意味,音知覚多感覚性および他者との関わり方(相互協調)に焦点を当てて検証する。(3)創作音具および子どもの周辺に潜在する行動の多様な資源(=アフォーダンス)の利用という観点から子どもの行動の変化を捉え,音楽発達における感覚運動的な水準の寄与を明らかにする。(4)創作音具を用いた音体験セッションの含意を保育や音楽教育との関連から議論するとともに,バリアフリー教具として創作音具の利用可能性を展望する。 以上の目的に沿って、昨年度は創作音具の制作に注力するため3Dプリンタなどを早期に導入して音具の仕様を含めて検討を重ね、音具に関しては一定の目途が立ったといえる。一方、制作した楽器の動作確認をかねた予備的実験の実施に関しては、新型コロナの感染状況の影響を受けて実施の見通しが立たなかった。そこでそれに代わる試みとして、別の創作音具を用いた予備的セッションをごく小規模な形で実施することにし、昨年度はその結果に基づいた学会発表(国際会議)や論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は,乳幼児の活動データを十全に記録できるように「共遊楽器(創作音具)」を改良し,早期に予備実験を実施することを目標としてきた。楽器製作に関しては、おおむね順調に進んでいるといえるが、一方で新型コロナ感染拡大の影響を受けて予備的実験を実施する見通しが立たなかった。このことが、「やや遅れいている」という区分にした最大の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
楽器製作はおおむね順調に進んでいるが、その動作確認をかねた試験的なセッションの実施を可能な限り早く実施したいと考えている。新型コロナの都内の感染状況は一進一退といった部分もあるが、規制緩和に向けた動きも活発になってきていることから、実施時期の具体的な検討に入っていきたいと考えている。研究協力者の数や実験デザインをやや縮小化することで、予定とする成果の一部は達成することができるものと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度は当初計画していた予備実験が、新型コロナ感染拡大の影響もあり実施できなかった。そのため実験実施や分析の補助業務のために計上していた人件費・謝金が発生しなかったことが「次年度使用額」が生じた主な理由である。2022年度は新型コロナ感染症の状況がある程度の落ち着きを見せつつあり、予備実験を含めた研究活動を行う予定であるため、そのなかで「次年度使用額」を使用していく。
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Research Products
(7 results)