2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Guiding Elements for Fostering Career Building Competencies Based on "Authentic Leraning"
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21K02434
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
清水 克博 愛知教育大学, 教育学部, 特別教授 (90847344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡田 裕教 滋賀県立大学, 全学共通教育推進機構, 特任教授 (90909441)
角田 寛明 東北学院大学, 就職キャリア支援部, 特任准教授 (30884184)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 真正な学習 / キャリア形成 / 授業分析 / キャリア・ポートフォリオ / 指導要素 / 学びの評価 / 初等中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
都道府県等教育センター研究所HPから小中学校の実践研究を管見し、教科等で行われている「真正な学習」でキャリア教育につながる研究状況を分析した。また、「真正の学習」に関する理論研究を検討した上で、この成果を基盤に総合的な学習の時間、国語、社会、英語を中心とした学校独自の探求学習「ことば科」を通じて「真正な学習」の実現を図る中高一貫教育校を研究対象校にして、対象校で実際されている「ことば科」の授業分析と「ことば科」とこれに関連する授業での学びの成果を「真正の学習」としてまとめたキャリア・ポートフォリオの記述分析を行った。 分析の結果、現在までのキャリア教育の殆どは、教科等の「真正な学習」とのつながりが極めて少なく、キャリア教育としての学びは、基礎的汎用的能力、職業観・勤労観の育成に集中していることが明らかとなった。また、「ことば科」とこれに関連した複数の教科での主たる単元を通じた「真正の学習」での学びの成果について、キャリア・ポートフォリオを用いて振り返らせてみても、生徒の多くは内容知としての「概念的知識」、方法知としての「方略」レベルまで自己の学びの成果をとらえるものの、教科等での「真正な学習」での学びの成果から内容知としての「原理」、方法知としての「方略」といった自己のものの見方・考え方までをメタ認知するまでにはなかなか至らないことが明らかとなった。 学期末、年度末にキャリア・ポートフォリオを用いて教科等で行われる「真正の学習」としての成果を「まとめ」新たな学びに「つなぐ」ための学びの振り返りをさせるには、それぞれの教科等で学びを振り返らせた上で、自己のものの見方・考え方に影響を与えた学びを生徒に見定める「学びの深い理解」を図ることができる仕組みをキャリア・ポートフォリオに位置づけることが重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都道府県等教育センター研究所HPから教科等で行われている「真正な学習」でキャリア教育につながる研究状況について、小学校分は完了し、中学校分の分析が進行中である。 また、「真正の学習」に関わる理論研究を参考に「深い学びの理解」への関与のあり方について、研究者内での認識の一致をなした。これを基に学校独自の探究学習の教科を定め、実践している先進的実践研究校において、実践校の研究協力者と協議しながら実践校での「真正の学習」の成果を「まとめ」「つなぎ」キャリア形成型コンピテンシーを育てることを目標としたキャリア・ポートフォリオ開発を行い、これを用いてその成果を確かめている最中である。また、この研究実践協力校での実践から得た知見を参考に、科学分野を中心に「真正な学習」の推進を図るSSH校(スーパーサイエンスハイスクール)、国際的視野に立つ学習を展開するWWL校(ワールド・ワイド・ラーニング)と連絡を取りながら、それぞれの学校での「真正の学習」での学びの成果をキャリア形成型コンピテンシーの育成につなげる授業実践を進めている。このように「真正な学習」を学校独自の特色に合わせて実施する中学校、高等学校と連絡を取りながら、「真正な学習」での学びをキャリア形成型コンピテンシー育成につなげる実践データの蓄積を行い、今後の研究推進に役立てるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
総合的な学習の時間を中心に「真正の学習」を実施している中高一貫教育校の生徒の学びの様子をこの研究を通じて追ってきた。特に、前年度より観察してきた中学2年生の学びを継続的に観察したことで、中学校1年生からの2年間にわたる生徒の学びの様相を明らかにすることができた。研究を深めるため、次年度も、これまで観察してきた生徒集団を引き続き観察することを通じて、中学校3年間における「真正の学習」による生徒の学びの変化とこれに伴うキャリア形成について追求していきたい。しかし、研究対象校で「真正の学習」の成果をキャリア形成につなげる実践協力者である教師が教育委員会へ異動となり、次年度、調査継続が難しい状況になっている。今後、実践を引き継ぐ教員に連絡を取り、研究調査の継続を図りたいと考える。 また、これまでは、主に中学校での実践データを中心に「真正な学習」での学びをキャリア形成型コンピテンシーを育成するための指導要素の解明に努めていたが、次年度は分析対象の範囲を高等学校にも広げ、SSH校、WWL校の2校での実践データを収集し、この分析を通じて「真正の学習」における学びをキャリア形成型コンピテンシーの育成に向けた指導要素の解明を図りたい。さらに、次年度、小学校のデータをできるだけ確保し、研究を深めることができるようにするために、キャリア教育研究の協力を依頼されている小学校と連絡を取り、学校の現況を調査し、今後の研究に役立てるための準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
研究成果を発表する予定であった8月、11月の学会がいずれもオンデマンド開催に変更されたため、当初、予定していた学会への交通費が未使用となった。また、予定していた調査対象校への3月の授業参観も、コロナ感染拡大の理由で当該校から訪問辞退を求められ、旅費の執行ができなかったことから次年度使用額が生じた。 今後、この未執行額を活用し、これまでの研究対象校である中学校での授業参観のための費用と、新たに依頼された小学校への訪問費用に活用し、研究に必要な授業実践データの収集を行いたい。
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Research Products
(3 results)