2022 Fiscal Year Research-status Report
小学生のレジリエンスを賦活化する体験型心理教育プログラムパッケージの開発
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21K02442
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒山 竜太 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30533468)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小学生 / レジリエンス / 心理教育 / 動作法 / 心理劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今、ストレスマネジメントという概念は広く学校教育に浸透してきているが、具体的にどのように行えばよいかについては現場によって試行錯誤が続いている状況である。また、近年大規模な災害が頻繁に発生していることから、平常時から担任教員を含めた通常学級規模でのストレスマネジメント教育のさらなる展開が必要である。特に被災した後のPTGやレジリエンスに注目し、本研究では担任教師が簡単に実施できるストレスマネジメント教育のパッケージング化の開発を目指している。特に「ストレス」という表現はどうしてもネガティブなイメージを与えるために忌避されがちであったりもする。そのため,レジリエンス概念を軸とした心理教育プログラムの開発は,学校教育における新しい可能性を秘めたものとなることが期待される。 初年度、新型コロナウィルス感染症拡大のために調査活動を計画通りに行うことができなかったが、2年目には、1年目に実施できなかった小学生におけるレジリエンスの評価についての尺度を作成し、その検証を行うことができた。成果については近日国内学会で発表予定である。また、同時並行でクラスでのレジリエンス向上のための授業開発を行い、研究者が進行しての授業実践を複数実施することができた。学級の質や実施時期によって効果の違いが確認されており、実践協力校を増やすとともに、より詳細に分析を進めていく必要がある。 最終年度に向けて、研究者が実施する授業のより洗練化とともに学級担任による実施を重ね、パッケージ化に向けた検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は計画的に遂行することができなかった分、2年目の調査・実践によってある程度遅れを取り戻すことができている。しかし、プログラム開発については計画段階で実施予定であった学校・学級数を満たすことはできておらず、今後各作業を同時進行で進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き実践協力校を募り、研究者による授業実践とともに学級担任による実践の試行を重ね、担任教師によって実施可能な心理教育プログラムとしてのパッケージング化を目指す。現在実践してきたなかでは、学校のカリキュラムの制約上4回連続での授業実践を確保するのは困難であることが見えてきている。また、時期によって効果が異なる可能性も見えてきているため、連続して実施することだけでなく、例えば学期の始めや終わりに実施するなど、時期の要因についても考慮する必要があると考えている。そのため、1回の授業の中でどのような効果が見えるか、また連続しての実施や通年の特定の時期に実施した場合など複数のケースを検討しながら、最適なプログラム開発を目指すことを検討している。
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Causes of Carryover |
1年目に新型コロナウィルス感染症拡大の影響で調査活動を思うように実行できなかったことで生じた余剰金があった。2年目ではその分を補う活動を行ってきたが、最終年度ではさらにこれまでの遅れを取り戻すため現場実践、及び学会発表や論文執筆のための予算執行を重点的に行う。
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