2021 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of Citizenship education on the Integration of Political Education and Moral Education from the Perspective of Social Relations
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21K02451
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
水山 光春 京都橘大学, 発達教育学部, 教授 (80303923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シティズンシップ教育 / 政治教育 / 道徳教育 / 社会科教育 / 市民教育 / 品格教育 / 市民性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は, 1)シティズンシップ教育の中核概念である「社会との関わり」に着目して,政治教育と道徳教育を統合する理論的枠組みを検討し,2)英国や香港等,日本に先行する品格教育実践国・地域における品格教育と「社会との関わり」の関連を考察するとともに,3)「社会との関わり」を視点とし,子どもの発達段階を踏まえた授業モデルを開発・試行し,その有効性を検証することである。 その趣旨は,今,我が国において,社会の構成員教育としてのシティズンシップ教育が注目されているものの,人生のどの段階でどの程度の質と内容の教育を行えばよいかが漠然としており,加えて,政治(的リテラシー)教育と道徳(的品格)教育というシティズンシップ教育の二大潮流の板挟みから,シティズンシップ教育に関心を寄せる日本の学校教育関係者,とりわけ義務教育の実践者が困惑している現状を改善することにある。 本年度は特に1)に関わって,「『「社会との関わり』を視点とした授業構成のための作業フレーム」における発達段階との関わりを整理し,大学生を対象にした予備調査を行い論文にまとめるとともに,発達段階ごとの目標を次のように仮説的に作成した。 ① 小学校段階:既存の構造の中での個人としての無名の行為や道徳的行為を重視する個人的責任志向の市民の育成(例えば,日常を律したり,道徳的立場から寄付するなど),② 小・中学校段階:既存の構造や体制を支持する立場で積極的に参加する積極的保守志向の市民の育成(例えば,募金の組織化や被災地ボランティアなど),③ 中・高校段階:既存の構造に異議を唱えることの意義は認めつつ,直接的な行動はしない象徴的参加志向の市民(例えば,批判的立場で寄付をするなど),④ 高校・大学段階:既存の構造に反対する立場で積極的に変革の行動を起こす積極的改革志向の市民の育成(例えば,既存構造への反対を他人に促すなど)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は「理論」「開発」「実践」「評価」の4つのステージを組み合わせて行い,研究期間の三年間を通して,以下のように研究を進めることとしている。 1)理論研究においては,国内外の調査を踏まえつつ,批判/公正や参加/責任等の価値や鍵概念をもとに,「社会との関わり」を捉えるシティズンシップ教育の基本フレームワークを作成する。2)開発研究においては,「授業構成のための作業フレームワーク」に基づいて,「無関心な市民」「消極的不参加志向の市民」を除く残る5つの市民像に対応する授業モデルを作成する。3) 実践研究においては,開発した教材,学習プログラムを試行,実践する。4) 評価研究においては,研究協力者の協力を得て,授業モデルを評価・改善し,発信する。 特に研究初年度である本年度は,1)の理論研究を中心にしながら2)の開発研究にも着手し,社会との関わりを段階的に示す枠組みを検討するとともに,授業プランの骨格を作成することを目ざした。このうち,理論研究においては,「研究実績の概要」にも記したように,「『「社会との関わり』を視点とした授業構成のための作業フレームワーク」における発達段階との関わりを仮説的に整理した。また,開発研究においては,COVID-19への対応を題材にして,国家としての民主主義のあり方を問うとともに,民主主義を支える倫理としてのベンサム・ルール,パレート・ルール,ロールズ・ルール等についての学習者の理解度を問う調査を行い,論文にまとめた。 以上,理論・開発研究において,モデル構築に一定の見通しを立てることができた点で大きな成果があったが,開発研究においては,COVID-19感染防止対策のために海外調査を実施することができず,予算も未消化(特に海外調査分)な部分があるので,(3)「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,理論研究から開発研究,実践研究,評価研究へと段階的にゆるやかに移行していくことを目ざしている。 研究初年度である第一年次においては,理論研究として,価値の創造・発展としての「批判・公正」と個人や社会のあり方,関わり方としての「参加・責任」を軸とした理論的な基本フレームワーク研究を行うとともに,開発研究として,基本フレームワークに発達段階的な要素を加えた作業フレームワークの開発を行い,授業モデル作成のための基本的な骨格を仮説的に整えた。 そこで次に行うべきは,この作業フレームワークに適宜,修正を加えながら,授業モデルを具体的に開発し実践することであり,そのためには,作業フレームワークを授業実践に落とし込めるように,校種に合わせた主題をいくつか設定するとともに,それらの主題に対応させた知識・理解,スキル・技能,価値・態度等に分けた目標や評価の指標,学習過程の設計をする必要がある。その際,本研究では特にスキルの獲得に注目したいと考えている。それは,従来のシティズンシップ教育において,指導者が学習者の成長を実感できなかったのは,このスキル獲得を段階的に可視化できなかったことが大きいと考えるからである。第二年次は特にこれらの課題に中心的に取り組みたい。 そして第3年次(最終年次)には,授業実践に基づく授業モデルの再構成を行うとともに,これまでの研究成果を集約し,学会等で発表する。併せて本研究の全体を総括し,評価する予定でいる。
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Causes of Carryover |
研究代表者,研究協力者全員参加による海外事例調査(実施場所:香港,海外研究協力者:香港教育大学 荘璟珉博士)を予定していたが,COVID-19感染防止対策としての両国・地域政府の指示による両国・地域間の入出国停止,ならびに待機期間の設置により,調査が実施できなくなったことで,旅費及び物品費(海外現地資料購入)に未使用額が生じた。次年度には,速やかに海外調査を再開するとともに,研究成果を海外の学会等で発表する予定でいる。
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Research Products
(4 results)