2023 Fiscal Year Research-status Report
現代的なリズムのダンスにおけるノリのメカニズム解明とその応用
Project/Area Number |
21K02453
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
小島 理永 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (10369382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 京子 京都橘大学, 工学部, 教授 (10397622)
松井 敦典 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40190384)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダンス / ノリ / 現代的なリズムのダンス / グルーヴ / 体育 / リズム / 楽しさ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成20年中学校学習指導要領改訂により体育ではダンスが必修化され,現代的なリズムのダンスが導入されたが,このダンスの技能の一つである「リズムの乗り」については未だに議論が続いている.音楽や音楽心理学の分野では,音楽表現の一つに「ノリ」という発想用語がある.そこで音楽のリズムおよび動きのリズムについて「ノリ」との関係を明らかにするため,2023年度は舞踊教育研究者による「リズムに乗る」の捉え方について文献研究を行った.また,質的研究として大学生が捉える「リズムの乗り」の認識について明らかにした. 「リズムの乗り」に関する主たる文献では,松尾(2015)は学習指導要領で用いられているリズムについて,ダンス以外での種目での用いられ方の検討を行っていた.陸上競技や水泳ではリズムは運動の秩序による反復の概念として用いられているのに対し,ダンスでは律動(リズム)の生成を意味していることを指摘していた.また,宮本(2011)は運動学的視点から「リズムにのる」ことについて考察しており,音楽のリズムと動きのリズムが複雑に絡み合って一体化し,ひとつのまとまりとしてみることができることを述べていた.ダンサーかつ指導者の七類(2010)は「初心者は体幹を目いっぱい動かして,ノリの感覚をつかむことが上達の近道」とし,パルスリズムと命名した「ノリのリズム感」が重要であることを謳っていた.次に,大学生男女106名が捉える「リズムに乗って踊る」のイメージをテキストマイニングより分析した結果,出現回数の多かった単語は順に「楽しい」,「踊る」,「合わせる」,「音楽」,「体」であった. これらの結果から運動制御の視点を参考にノリの要因を探るため,音楽(聴覚)または動き(筋感覚)が知覚され,認知・判断し,踊る(出力)というモデルを設定することにより体育授業場面での学習者の楽しさや動きやすさを検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現代的なリズムのダンスにおけるノリのメカニズム解明にむけて,音楽のリズムと動きのリズムに関する関係性について検討することができた.引き続き,体育授業でのダンス指導場面においてノリが体得できる要因を検討していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
ダンスにおけるノリについて明らかにするため,すでにデータ取得済である舞踊教育研究者が考えるダンスのノリについて分析を進めていくと共に,運動制御の視点を参考に,仮説として「音楽(聴覚)または動き(筋感覚)の知覚→認知・判断・感情生起→踊る(出力)」といったリズム表現モデルについて検証していく予定である.
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Causes of Carryover |
令和4年度より研究計画を見直ししたため、令和6年度に予算を繰り越すことになった。令和6年度にはこれまで取得したデータの分析用ソフト,解析用PC,機器等の購入を予定している。
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