2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K02481
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
西野 真由美 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (40218178)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 徳倫理学 / カリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学校における道徳教育の学習内容の構成を理論的・実証的に検討し、次期学習指導要領改訂における「内容」の見直しに向けた複数の選択肢を提供することである。この目的を達するため、本研究では、①道徳教育の内容構成に関する理論研究(徳倫理学・カリキュラム研究的視点)、②諸外国の道徳教育カリキュラムにおける内容構成の動向調査(比較教育学的視点)、③文部科学省指定研究開発学校における学校主体のカリキュラム開発の実践研究分析(実証的視点)を行うとともに、国内外の道徳教育研究者の意見集約を目的として、関連学会でシンポジウムやラウンドテーブルを企画・開催し、道徳教育の内容構成について複数の試案を開発する。 今年度は、①については、徳倫理学と概念型カリキュラム論の最新の研究動向を踏まえ、現行学習指導要領に盛り込まれた道徳的諸価値を概念的知識や永続的理解の観点から分析し、内容の構造化を検討した。 ②③については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、予定していたシンガポール、オーストラリアへの訪問調査、国際学会でのシンポジウム開催、国内の研究開発学校訪問調査などの実施が困難となったため、当初の研究計画を変更し、諸外国の道徳教育カリキュラムにおける内容の示し方について、既存資料並びにインターネットで入手可能な資料に基づいて整理分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、前年度に終了予定の基盤研究(C)「道徳教育カリキュラムの内容構成に関する基礎的研究」(平成30~令和2年度)の研究成果に基づいて、内容構成の試案を作成する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、同研究の実施が困難となったため、研究期間を令和3年度まで延長し、本研究と並行して進めることとなった。二つの研究課題を遂行するため、内容構成やその示し方について諸外国研究者や国内の研究協力校と連携した研究開発と成果に対するレビューを計画したが、感染状況が収束しなかったため、国際学会での外国研究者と共同のシンポジウム開催や諸外国におけるカリキュラム開発に関する現地訪問調査が実現せず、試案の作成に必要な基礎的データを十分に収集できなかった。そのため、カリキュラム開発に関わる調査の遂行を一時的に中断し、徳倫理学やカリキュラム研究に関する最新の研究動向に関する理論研究を優先的に進め、諸外国訪問調査、国際学会発表、並びに国内の研究開発学校と連携した研究開発は、次年度以降に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
諸外国のカリキュラムとの比較研究については、欧米では新型コロナウイルスの感染が収束しつつあり、令和4年度には当初発表を予定していた国際学会が開催される見込みである。同学会において道徳教育の内容構成に関するシンポジウムを開催し、研究成果を発表するとともに、諸外国研究者との意見交換を踏まえて、内容構成の選択肢の検討を進める予定である。また、アジア・オセアニア諸国での状況が改善すれば、当初予定していたシンガポールとオーストラリアへの訪問調査を実施する。ただし、これらの調査については、引き続き実施が困難となった場合は、同国のカリキュラム開発担当者や研究者とのオンラインでの協議を続け、カリキュラム改革の情報収集に努める。 国内の協力校における実践研究については、訪問調査が可能となりつつあることを踏まえ、聞き取り調査を実施するとともに、国内学会でのシンポジウムや課題研究を企画して、学会での意見集約を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、前年度まで実施の基盤研究(C)の研究成果を踏まえ、実証的なデータ収集に努める予定であったが、同基盤研究における諸外国調査が新型コロナウイルスの感染拡大により大幅に遅れてしまったため、研究期間を延長し、それによって本研究も研究計画を修正しなければならなくなった。また、研究発表を予定していた国際学会への対面での出席や国内の学校調査も断念せざるをえなくなったため、国内外の旅費を使用することができなかった。 今年度は国内外の学会が対面で開催され、また、学校への訪問調査も可能となっていることから、昨年度使用できなかった助成金は、これらの調査に使用する見込みである。
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