2021 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギーに対応した調理教育題材の開発と食生活総合教育ネットワークの構築
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21K02483
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 佐織 群馬大学, 共同教育学部, 講師 (90898248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増渕 哲子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40199708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 中学校家庭科 / 調理実習 / ユニバーサル調理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,年々増加する食物アレルギーに対応するために,中学校家庭科教育において,食物アレルギー原因食品を除外しても全ての生徒が美味しく食べることができ,なおかつ食物アレルギーの有無に拘わらず全ての生徒が平等に学ぶことができる調理実習題材を開発することを目的としている。また,題材開発においては,日本の一部の地域や学校への対応に限定したものではなく,日本全国,海外にも目を向け,世界の食物アレルギーにも対応できる「ユニバーサル調理教育題材集」を開発,作成し,家庭科の教材として一般化していく。なお,ここでは,食物アレルギー原因食品を除外しても全ての生徒が美味しく食べることができ,全ての生徒が平等に学ぶことができる調理教育を「ユニバーサル調理教育」と定義している。 2021年度に実施した研究は以下の通りである。 ・「ユニバーサル調理教育」題材及び調理法(レシピ)の試作・開発を行い,大学生と群馬県内学校教員を対象とした調理実習を実践し,教師教育の視点から見た「ユニバーサル調理教育」の有効性について検討した。 ・2021年改訂中学校技術・家庭(家庭分野)教科書三社の調理実習題材,食物アレルギーに関する記述を比較分析し,食物アレルギー対応に関わる教科書の課題を検討した。この成果は次の論文で報告した。 佐藤佐織.中学校技術・家庭科(家庭分野)教科書の比較分析-食物アレルギーへの対応に関する考察-.群馬大学共同教育学部紀要 芸術・技術・体育・生活科学編.2022,Vol.57,109-121 ・全国の中学校家庭科教員を対象とした郵送法によるアンケート実施に向けて,アンケート用紙の作成,発送先リストの作成等の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題1年目に予定していた「調理教育題材及び調理法(レシピ)の試作・開発」は,順調に進んでいる。また,4年目に予定していた「開発した調理教育題材を用いた調理実習実践と教育効果の検討」についても,大学生と教員を対象に実施し,題材としての有効性を検討する等,前倒しをしてきた。 また,2年目に予定していた「国内外の食文化,食物アレルギーの比較調査・分析」のうち,国内の食物アレルギー比較調査・分析の一環として,2021年改訂中学校技術・家庭(家庭分野)教科書三社の調理実習題材,食物アレルギーに関する記述を比較分析し,食物アレルギー対応を巡る教科書の課題を考察した。その結果を,群馬大学共同教育学部紀要に投稿し,掲載された。 しかし,当初1年目に予定していた「全国の中学校家庭科教員を対象とした郵送法によるアンケートの実施・集計・分析」,「インタビュー調査の実施・集計・分析」については,アンケート用紙の作成,発送先リストの作成等準備段階までは行ったが,アンケート実施までは行わなかった。コロナ禍で調理実習を実施できていない学校が多い中で,「調理実習」に関連した質問の多いアンケート調査を実施することは,回答者である中学校家庭科教員にとって大きな負担になると判断したためである。よって,アンケートの実施・集計・分析は,1年遅れで2022年度に行う計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で,国外での調査研究が難しい状況にある。よって,国内で可能な範囲での研究,昨年度未実施の研究を中心に進めていきたい。 2022年度は,以下の研究を進めていく予定である。 ・全国の中学校家庭科教員を対象とした郵送法によるアンケートの実施・集計・分析を行う。その結果をまとめ,学会での口頭発表と論文公表の準備を進める。 ・国内の食文化研究機関・施設,食や農業に関連する施設にて,新たな「調理教育題材及び調理法(レシピ)の試作・開発」に向けた情報の収集を行う。 ・新たな「調理教育題材及び調理法(レシピ)の試作・開発」を行い,大学生と教員を対象に,「開発した調理教育題材を用いた調理実習実践と教育効果の検討」を実施し,題材としての有効性を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で,日本家政学会,日本家庭科教育学会ともにオンライン開催となり,「学会への出張旅費」を使用しなかった。また,当初1年目に予定していた「全国の中学校家庭科教員を対象とした郵送法によるアンケートの実施・集計・分析」,「インタビュー調査の実施・集計・分析」についても,アンケート用紙の作成,発送先リストの作成等準備段階までは行ったが,アンケート実施までは行わなかった。コロナ禍で調理実習を実施できていない学校が多い中で,「調理実習」に関連した質問の多いアンケート調査を実施することは,回答者である中学校家庭科教員にとって大きな負担になると判断したためである。よって,アンケートの実施・集計・分析は,1年遅れで2022年度に行う計画である。
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