2021 Fiscal Year Research-status Report
メタ認知的活動の促進による科学的な問いを設定する力の育成に関する研究
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21K02484
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
栗原 淳一 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (90583922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 裕充 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (30511505)
山田 貴之 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90824277)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 理科 / メタ認知的活動 / 問いの設定 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の中学校理科教育においては、教員の意識の指導実態から、「科学的な問いを設定する力」の育成を図る指導方法の開発が喫緊の課題となっているが、理科授業の文脈を踏まえた具体的な指導方法の確立には至っていない。そこで本研究は、科学的な問いの設定の仕方に関するメタ認知的知識を獲得させつつ、その知識を基に学習者同士で思考を整理・統合しながら、科学的な問いを設定することができる指導方法を開発するとともに、その効果を実証的に検証し、指導方法として確立させる。 2021年度は、主に指導方法開発のための調査及び分析を行い、基本的な授業デザインの枠組みを検討した。具体的には、研究協力校の理科授業における問題設定場面2事例を分析し、学習者が問題を設定する際の思考方法や思考内容を導出した。特に、学習者が働かせる見方や考え方を整理することが重要であることが示唆された。さらに、既習事項や生活経験から新たな問題を設定する際の思考を促す要因の検討を行った。これについても、思考の整理が重要となるが、他者の思考に触れ、自らの思考を振り返ることが重要となることが示唆された。これらの分析結果から、学習者の思考の文脈を踏まえると、先行の研究知見である協働的知識構築モデルを協働的思考統合のモデルとして援用できる見通しが立った。また、授業デザインの基礎的データとなる「科学的な問いを設定する力」に影響を及ぼす因子を同定するための調査、及び、「科学的な問いを設定する力」を測定する調査の問題を検討し、予備的調査・本調査できる段階に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力校の授業の参観とそのデータ整理・分析が順調に進み、一定の成果(学習者の思考内容や思考方法の事例)を得ることができた。また、同時に、科学的な問いを設定する力を測定する調査問題の方向性について、研究者同士で検討が進み、調査問題を決定するための予備的な調査段階に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力校及び一般公立学校への調査を実施し、科学的な問いを設定する力の育成に影響を及ぼす諸要因の因果モデルの導出を試みる。また、同時に、科学的な問いを設定するに至る学習者の思考過程を重視しつつ、因果モデルの知見を統合した指導を検討し、プレ実践を行う。これにより、指導方法の骨子を確立させる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であり、旅費の支出が抑えられた。また、事例分析が効率的に進み、人件費が抑えられた。この分の経費は、因果モデル導出のためのサンプル数の多い調査・分析に関わる人件費に充てる計画である。また、次年度後半には効果検証のための授業を構想することになるが、その授業で使用する予備実験や教材の選定のための費用に充て、効率よく研究を進める予定である。
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