2021 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける書教育に関わる教員養成学構築のための比較研究
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21K02485
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
加藤 泰弘 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00292996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草津 祐介 都留文科大学, 教養学部, 特任准教授 (30765160)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 中国の書教育 / 日中韓の比較研究 / 教員養成学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東アジア・漢字文化圏(日本、中華人民共和国(以下、中国と表記)、大韓民国(以下、韓国と表記))等の書教育と教員養成について、教材、指導法、教育実習等の視点から比較・分析を行い、その意義や価値の再検討し、書教育に関わる教員養成学を構築することを目的としており、2021年度は、近年、充実が図られてきている中国の書法教育の実践について研究予定であった。 2021年度内に、北京師範大学及びその附属学校への訪問を予定していたが、新型コロナウイルス感染症が終息せず、対面での共同研究をオンライン研究会の開催へと変更した。概ね二月に一度、共同研究者とZoomによる東アジア書教育研究会を企画・開催し、三国の書教育の実態、現状と課題、今後の方向性等について相互理解を図ってきた。 3月には「日中韓書教育フォーラム2022 中国の小学校における書法教育の実践」を共同研究者の所属である都留文科大学を拠点に開催した。同フォーラムでは、重慶市の小学校で実践した書法の鑑賞の授業、及び済南市の小学校で実践した表現の授業の動画をオンラインで共有、視聴し、意見交換を行った。中国からは北京師範大学及び山西大学美術学院の教員に授業解説と特色の説明を依頼した。韓国からは、京畿大学校国際美術専攻の教員、淑明女子大学校の教員、韓国書家協会教育文科委員長に登壇とコメントを依頼し、日本からは研究代表者と共同研究者が登壇して実施し、三国から多数の研究者の参加を得た。中国では、独自の伝統文化の学習を充実させる観点から、水準の高い特色のある授業が展開されており、多くの示唆を得た。 また、日本の書写書道に関わる教員養成については、本学附属中学校教諭、附属高等学校教諭と連携を図りながら、特に教職大学院の教職専門実習と教育実習を連関させたカリキュラムの構築を検討し、相乗効果をあげる教員養成について研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年中、本研究の対象である日本、中国、韓国の新型コロナウイルスの感染状況に改善が見られず、研究計画で予定していた中国の北京師範大学及びその附属学校の訪問が実現できず、中国での資料収集等にも大きな支障が生じた。当初、北京師範大学伝播学院が中心となって、韓国の研究者と共に「書教育に関するシンポジウム」を計画し、三国の教員養成と小中学校における書教育について比較研究を行う予定であったが、開催することができなかった。 中国・韓国への訪問が難しい中、おおよそ2月に一度、共同研究者とZoomによる東アジア書教育研究会を企画・開催し、三国の書教育の実態、現状と課題、今後の方向性等について相互理解を図ってきた。また、三国における書教育の教員養成の実態と課題、その改善方策についても情報効果を行ってきたところである。また、共同研究者と「日中韓書教育フォーラム」を開催し、中国の小学校における書法教育の実態について、授業映像を共有して授業研究を行い、多くの出席者を得て、一定の成果をあげたが、訪中ができず、現地の大学教員との本格的な連携研究を進めることができなかった。 以上の実態を踏まえ、2021年度は、研究の内容を日本の書写書道の教員養成を中心とすることとし、本学附属中学校教諭、附属高等学校教諭と連携を図りながら、特に教職大学院の教職専門実習と教育実習を連関させたカリキュラムの構築を継続研究し、相乗効果をあげる教員養成について成果をあげたが、当初の研究計画から大幅な変更となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に計画し実現ができなかった中国の北京師範大学及び附属学校へ訪問し、書法教員の教員養成や小学校等における書法授業を参観し、実践研究をし推進していく。併せて中国や韓国の研究者を招聘して、書法授業の指導過程、教科書教材の比較をテーマとした国際学術会議の開催を予定している。新型コロナウイルスの感染の終息ををみて、年度内に企画・開催したいと考えている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が終息せず、研究者の招聘が難しい場合は、2021年度と同様、オンラインによる「日中韓書教育フォーラム 韓国の小学校における書芸教育の実践」を開催し、韓国の授業実践について研究を進めていく。加えて、特に韓国における教科書教材の分析、学習過程等についての研究を進め、日韓の比較研究を展開していく。 日本の書教育については、2022年度より高等学校学習指導要領が学年進行で実施されることから、「文字文化」の視点から、小中学校の国語科書写から高等学校芸術科書道へと展開する授業の在り方を検討する。特に、教科書教材や指導過程に視点をあてていく。また、学部の教育実習や教職大学院の教職専門実習の連関についても研究を深化させ、中国や韓国の教育実習の実態についても資料の収集に着手していく。
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Causes of Carryover |
2021年度は、研究対象としている東アジア(中国、韓国、日本)の新型コロナウイルスの感染状況が終息をみせず、当初予定していた共同研究者との中国訪問ができなかっため、外国旅費の使用が全くなかった。また、モバイルパソコンの購入についても、訪中時に持参を予定していた機器であるため、購入を一旦見送り、設備備品費の使用も限定されたことによるものである。 2022年度については、訪中または訪中が可能かどうか、各国の感染状況等を確認しながら判断していく。また、設備備品としてのモバイルパソコン等は、新型コロナウイルス感染症の終息状況にかかわらず購入し、データの整理を行うなど基礎研究を進めていく。オンラインによる国際研究フォーラムは、2022年度中に開催し、中国及び韓国の資料収集、翻訳、当フォーラム当日の逐次通訳等(人件費・謝金)は、本年度同様に使用していく計画である。
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Research Products
(3 results)