2023 Fiscal Year Research-status Report
遊びにおけるコミュニケーションによって展開する即興的音楽表現教育プログラムの開発
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21K02490
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
麓 洋介 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40735833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 誠孝 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (80719089)
岡田 暁子 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 教授 (40413265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 劇的要素と音楽的要素の関係 / 音楽を生み出す遊び / 音楽的多様性と発展性 / 遊びの自由性 / マーブリング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目の今年度は、前年度の研究成果として開発された「音楽を生み出す遊び」“マーブリング”における劇的要素と音楽的要素との関係性について、即興的音楽表現活動としての多様性と発展性を引き出す要因を探った。前年度における課題として、学生へのアンケートから「音で演じる」ことについての難しさを指摘する意見が聞かれた。その要因として、対象となった学生は音楽表現または造形表現を主に学ぶ学生であったことが考えられた。そこで今年度は、劇表現を主に学ぶ学生を対象として実践を行い、「劇」および「演じる」視点から本研究を検討することで「遊びのルール」の改善を図った。その結果、キャラクタリゼーション(性格付け)を容易にすることで自分なりの音の表現が生まれること、劇を進める進行役を置き各奏者の関係性に変化を与えることで音楽的なストーリー性が生まれることが明らかとなった。 2023年8月N大学において、劇表現ゼミに所属する学生を対象として「音楽を生み出す遊び」“マーブリング”による音楽表現活動の実践を行なった。各色の演じ分けについて、学生の提案からトランプのカードを引き、数字の大きさでキャラクタリゼーション(性格付け)を決定した。かき混ぜ役のある・なしによる2通りの方法で行ない、遊びの視点・音楽の視点から意見を求めた。学生からは、かき混ぜ役がいない方がより「自分が表現している」と感じる意見が聞かれた。一方で、かき混ぜ役が意図的に色水役を動かすことで音楽が変化し、それによってストーリー性が生まれたことで劇らしさが感じられた。そこで学生たちと改善案を協議し、かき混ぜ役を置きながらも色水役も自由に表現を楽しむ、音を使った即興劇を考案した。 これらの成果の詳細については、令和6年5月に行われる日本保育学会第77回大会(オンライン)において発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナが5類に変更となったこともあり、予定通り実践調査を行うことができた。その結果、劇表現を学ぶ学生を対象とした実践調査では、劇的要素と音楽的要素の関係性について知見を得られ、「音楽を生み出す遊び」“マーブリング”を実践するための「遊びのルール」を改善するという年度目標を達成することができた。 一方で、授業において本活動を実践する前段階として、導入的活動を行う必要性が新たに見出された。本研究は音・色や形・劇の3つの感覚の融合・往還するものであり、予め音と色や形、音と劇を結びつける活動を行うことで本活動をより容易にし遊びとして楽しめると考えられた。 そのため次年度においては、今年度の研究成果を踏まえ授業における学生への提示方法を確立する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、まず保育者養成校に通う様々な学生を対象として実践調査を行う。 次に、得られた知見を元に、「音楽を生み出す遊び」“マーブリング”の音楽表現活動を保育者養成における授業として展開するためのプログラムとしてまとめる。 そして研究成果を関係学会で発表するとともに、これらを“遊び方”として教材化した冊子および資料DVDを併せて成果報告物として作成する。
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Causes of Carryover |
成果発表を予定していた学会がオンライン開催となり、そのために予算計上していた旅費が使用されなかったことが次年度使用額が生じた主な要因である。 次年度の使用計画については以下の通りである。次年度は参加予定学会が対面開催であるため、その旅費に充てる。加えて様々な要因から宿泊費および物品が値上がりしており、計画時より経費が多く必要になることが予想される。また、実践調査回数を当初予定よりも増加して実施することを計画しており、旅費および実践のための物品費に充てる。さらに成果物として報告書の作成を予定しており、そのための印刷費および資料DVD作成に充てる。その際に音楽の専門家や劇表現教育の専門家に技術および専門的知識の提供を求めるための謝金に充てる。
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Research Products
(1 results)