2021 Fiscal Year Research-status Report
文学テクスト固有の資質・能力育成のための原理的調査研究
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21K02492
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40278594)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文学テクストの読み / 語り手 / 語り / 認知的道具 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の科研費による研究活動は、コロナ感染対策の中で、大きな制約を受けることとなった。ことに、全国大学国語教育学会がこの間全面的にオンライン開催となったこともあり、研究交流に大きな障害となった。また、研究協力者の可能性のある実践研究者との研究交流も大きな制約を受けた。 このような事態にあって、今期の研究実績は、研究発表としては、第140回全国大学国語教育学会2021年春期大会(オンライン)における【「語り=物語行為」に着目した文学テクストの教材研究の可能性】、研究論文としては、教職大学院生と共同研究成果をまとめた【中学校国語科における文学的読解力の開発:テクストとの〈対話〉・他者との〈交流〉を軸として】(大阪教育大学紀要総合教育科学70号)に限られることとなった。 前者は、文学テクストの読みにおいて機能する資質能力の重要な柱としての「語り」の問題を、国語教材の教材論、並びに読者反応理論、物語論といった理論的考察の中で明らかにすることを試みたものである。 後者は、中学校における文学テクストの学習指導における協働的な学びの中で機能する認知的道具のありようを仮説的な学習単元を構想し、実施し、得られた班学習の発話プロトコルの分析を通して検討した。この論文においても、最も重要な認知的道具として「語り」の問題に焦点を当てた検討を行った。 このような一連の取り組みを通して、今日の国語学習によって形成される資質能力のありようと、その土台となる「認知的道具」の様相が、一定明らかになったということができる。今後、教材の特性や、学齢段階の特性を考慮しつつ、より包括的な、体系的な認知的道具の様相について検討を深めていく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対外的な活動が極めて抑制的にならざるを得ない期間が大半を占めることで、実践現場との連携を計画することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
来期にあっては、学会活動、実践研究会活動への参画を積極的に行い、質的研究に関する方法論的知見を確保したり、協働的学びにおける学習者の読者反応をとらえる方法論の確立等を模索して、遅延している研究の理論的フレームの確保に努める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、研究計画を進めるための一切の研究出張、研究交流を計画、実施することができなかったため、支出することができなかった。
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