2022 Fiscal Year Research-status Report
子どもの租税意識の変革的な成長をめざす社会科授業の開発研究
Project/Area Number |
21K02496
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤瀬 泰司 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (30515599)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中学校 / 地理学習 / タックスヘイブン問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,子どもの租税意識のよりよい成長をめざす中学校社会科授業を開発することによって,民主的な国家・社会の形成者を育成する租税教育の方法を具体的に明らかにすることである。この目的に基づいて,2022年度は,次の2点について取り組んだ。 1点目は,地理的分野の授業開発に取り組んだ。従来,租税教育の授業開発は,歴史的分野や公民的分野を中心に行われてきた。本研究では,タックスヘイブン問題を教材にした中学校世界地理学習の授業モデルを開発した。具体的には,タックスヘイブン問題の原因と対策を地域空間の競合と統合として学習させることによって,「税金は市民が決めて負担するもの」という能動的な粗税意識を育てる授業を開発した。なお,本授業モデルの詳細については,2022年10月22・23日にオンラインで開催された日本社会科教育学会第72回全国研究大会で口頭発表を行った。 2点目は,上記モデルの実験授業を実施した。なお,実験授業は,熊本市内の公立中学校に勤務する社会科担当教員に依頼した。同授業は,2023年3月上旬に実施し,中学校1年生を対象に行なった。また,実験授業の効果を検証するために,アンケート調査も実施した。「事前アンケートの回答時に比べて,税金に対するイメージに変化はありましたか」という問いに対しては,「変化があった」「どちらかといえば変化があった」と回答した生徒が多数を占め,「変化がなかった」「どちらかといえば変化がなかった」と回答した生徒はほとんどいなかった。この結果に基づく限り,開発した授業モデルの効果は十分にあったと判断できる。 以上の通り,2022年度は,タックスヘイブン問題を教材にした中学校地理授業を開発・実践することにより,生徒の能動的な粗税意識を高める地理学習のあり方を具体的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子どもの粗税意識をよりよく育てる地理授業を開発するとともに,その効果を検証する実験授業も実施できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,次の2点に取り組む。 1点目は,前年度開発した地理授業の結果を詳細に分析し発表すること。 2点目は,新たに公民分野の授業を開発すること。
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Causes of Carryover |
学会・研究会がほとんど対面形式で開催されなかったため旅費を消化できなかった。 次年度は,主に旅費及び物品費として使用する計画である。
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