2023 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの租税意識の変革的な成長をめざす社会科授業の開発研究
Project/Area Number |
21K02496
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤瀬 泰司 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (30515599)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タックスヘイブン / 租税抵抗 / 財政民主主義 / 中学校社会科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,子どもの租税意識のよりよい成長をめざす中学校社会科授業を開発することによって,民主的な国家・社会の形成者を育成する租税教育の方法を具体的に明らかにすることである。この目的からみた場合,2023年度の研究実績は,次の2点である。 1点目は,昨年度の研究成果を学会で報告したことである。「生徒の租税意識をよりよく育てる中学校地理学習の授業開発(2)―タックスヘイブン問題を手がかりにして―」という発表題目のもと,2023年10月28日にオンラインで開催された日本社会科教育学会第73階全国研究大会で口頭発表を行った。タックスヘイブン問題を題材に「税金はとられるもの」ではなく「市民が決めて負担するもの」という能動的な粗税意識を育てる地理授業を開発・実践することにより,税金に対する生徒のイメージが大きく変容することを明らかにした。 2点目は,公民的分野の授業を開発・実践したことである。具体的には,小単元「中間層の痛税感について考える」という中学校租税学習の授業を開発し,実験授業を行ってその効果を検討した。第1時では,我が国の中間層の人々の痛税感が大きい理由を追究させることにより,我が国の財政規模が小さく,中間層の人々がその受益を実感しづらい財政構造になっている結果,人々の痛税感が大きくなってしまうことを学習させる。第2時では,中間層の人々の痛税感が我が国の財政民主主義の仕組みに与える悪影響について考えさせ,そのような悪影響が実際に生じていると考えるか否か議論させることにより,財政民主主義の担い手としての自覚を高めることをめざした。なお,この研究の成果は,「生徒の主権者意識を高める中学校財政学習の授業開発―租税抵抗問題を手がかりにして―」という発表題目のもと,2024年2月にオンラインで開催された社会系教科教育学会第35回研究発表大会で報告した。
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