2023 Fiscal Year Research-status Report
子どもの〈問い〉から主体的な学びを実現する図画工作科・美術科の授業に関する研究
Project/Area Number |
21K02517
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
新野 貴則 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60353380)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 美術科 / 問い / 発問 / イメージ / 学びの構造 / 指導の構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は造形美術教育における子どもの〈問い〉と教師の発問の関係を捉え、子どもの〈問い〉から主体的・創造的な学びの実現を目指す発問の検討を中心とした授業の方法論を理論的・実践的研究を通して構築することを目的とするものである。 2023年度の研究は、これまでの理論的研究を整理しつつ、実践的研究をさらに展開させた。特に実践的研究については、比較的期間の長い授業を対象にして、授業全体の学習指導の展開の構造化を目論むことにした。そのため、検討・分析する授業は中学校の美術科の授業を対象とした。小学校の図画工作科の授業は中学校の美術科と比べると時間数が短い場合が多いからである。 授業は次の方針で計画した。①生徒の学びと教師の指導をパラレルな関係にあるものとする。②生徒の主体的な学びを構造的に捉え、図式的に「?→!」のように表す。③授業の内容に応じて学びを具体的・構造的に捉え、見いだされた学びの構造に対応するように指導方法(ここでは主に発問の構成)を検討する。この方針で授業を計画・実施した結果、生徒の主体的な学びを促すことができること、そして、この方針が授業構成や指導方法の検討に資するものであることを確認することができた。 なお、この研究成果は論文「主体的な学びの実現を目指す美術科の指導方法―生徒の問いの形成を促す発問構成―」としてまとめ、美術科教育学会の学会誌『美術教育学』において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染状況が拡大したことで教育実践現場に赴く機会が減少し、研究に遅れが生じたが、令和5年度は教育実践現場に赴く機会が得られるようになったため、初年度からの遅れは十分に取り戻せていないが、令和5年度の研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が落ち着き、徐々に教育実践現場に赴く機会を得ることができるようになり、授業記録のVTRやワークシートデータなどの資料も整いつつある。今年度は、不足資料を積極的に収集・整理していく。また、資料の収集と同時並行して、資料の分析と検討を進め、研究をまとめていく。
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Causes of Carryover |
理由は、コロナ感染状況の拡大により令和3~4年度の教育実践現場での調査が予定通り実現できなかったためである。 令和6年度は、主に授業実施に関わる教材(消耗品)の購入や授業のVTRやワークシート、作品等の実践記録を収集するための旅費として使用する。
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