2021 Fiscal Year Research-status Report
小学校教員の負担軽減と生徒の主体的な化学実験への取り組みを実現する新規教材の開発
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21K02520
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
種田 将嗣 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90599656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安積 典子 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (50200829)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オンライン実験 / プラスチック器具 / 化学実験 / 基本操作法 / 小学校理科 / 安全教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪教育大学で理科を専攻する学生を対象として、実験器具の取り扱い方をはじめとした基本操作法の実験授業を、オンラインによる指導で実施した。実験器具は各家庭に安全に持ち帰ることができて、かつ安全に使用できるものとして、プラスチック製のフラスコ、ビーカー、メスシリンダー、駒込ピペット、試験管、木製の試験管立てをセットとしてまとめたものを準備した。これを各学生に持ち帰らせる、あるいは郵送することによって貸し出すことで、大学の実験室以外の環境で実験に参加させた。 実験実施後にアンケート調査を行うことで、実験器具の安全性、実用性の評価を行い、実験内容が小学校で実施できる内容だと思うかどうかの意見を収集した。器具は取り扱いやすく、実験の指導も身になるものであったという評価を得たが、小学生を対象として各家庭でオンライン指導のもと実験を行うことについては、困難であるという意見があった。具体的には、そもそもオンラインに端末を接続することが困難であり、家庭の負担、学校教員の負担を増大するという、化学実験以外の一般的な理由から、オンラインで実験を行うことが困難であるということであった。以上の研究成果を日本化学会春季年会で講演した。 また、物質の光分解を視覚的に理解できる教材の開発の一環で、メチルイエローを母骨格とした分子の研究を行う過程で取り扱った分子の単結晶が得られたので、X線結晶構造解析を行い、構造を欧文誌に投稿した。 高校化学で引火性有機溶媒を使用する実験で、加熱に火を使わずに実験を実施する手法を開発し、研究交流会で報告した。 児童生徒が理科実験に興味を持つようになることを目的として、各家庭で行うことができる実験を4種発案し、電子ジャーナルにオープンアクセスで公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンライン実験を実際に実施することができており、この点について進捗状況はおおむね順調に進行しているということができる。日本化学会春季年会に参加して情報を収集したところ、オンラインで実験を試みている研究者はいるものの、実験室以外でオンライン実験を実施できた実践報告例は本研究以外には見られなかった。 しかしながら、令和3年度もコロナ禍が収まらず、小学校教員の負担が大きく新しいことに着手してもらう余裕がなかったため、実験器具を使ったオンライン実験を現職教員に対して実施する機会を得ることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は小学校教員をはじめとした教員が各自で必要に応じて理科実験の手法を学ぶことができる教材の開発への足掛かりとなることを目指し、前年度に行った実験を、各自で受講できるようなオンライン教材の開発に着手し、オンライン実験をオンラインオンデマンド教材に昇華する。 また、近隣の学校と連携してプラスチック製の実験器具を教育現場で使用してもらい、その実用性を評価する。 理科離れが見られる児童生徒に、理科への関心を持たせることを目的として、各家庭で実施可能な実験を立案し、大阪教育大学柏原キャンパスで実施する公開実験講座で実践して、事件手法を電子ジャーナルで公開する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続き、計画していた現職教員を対象としたオンライン実験の実践研究を行うことができなかったため、次年度に経費を持ち越している。令和四年度に研究を実施していく計画である。
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