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2021 Fiscal Year Research-status Report

すべての児童生徒にとって効果的な協同学習モデルの開発

Research Project

Project/Area Number 21K02523
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

栗原 慎二  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (80363000)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 深谷 達史  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70724227)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords情動的支援 / 認知的支援 / 協同思考支援 / 資料読解支援
Outline of Annual Research Achievements

21年度の目標は協同学習の効果的な指導行動を明らかにすることであった。この目的のために,研究協力者と何度か打ち合わせを行い,認知面と情動面への指導が前提となることを確認したうえで,指導対象として,個人・ピア・学級の3水準,指導意識として,認知・メタ認知・情動の3水準を想定した3×3の指導行動モデルを設定し,これを前提とした質問項目を開発し,予備調査を行った。
予備調査は,A市の小学校13校,中学校8校の合計21校320人の教師を対象に行った。探索的因子分析の結果,36項目が抽出された。また,教師の意識構造として,ピアと学級を分けて指導をしていないことが示唆された。
そこで本調査では,指導対象としては個人とピアの2水準,指導意識として認知・メタ認知・情動の3水準を想定した2×3の指導行動モデルを想定し,予備調査結果に一部修正を加えた36項目からなる質問紙を作成した。本調査は,A市に加え,B市にも協力を依頼し,小学校教師364名,中学校教師251名,合計615名を対象に行った。分析にあたっては小学校と中学校において,協同学習指導において求められる指導行動に大きな違いはないという視点から学校種による区別はしなかった。
分析の結果,認知面への指導と情動面への指導を区別して指導行動を分析することが当てはまりが良かった。情動面への指導は「個に対するポジティブ支援」と「ポジティブなピアコミュニケーションの支援」の2因子,認知面への支援は「個人質問支援」「協同思考支援」「個人思考支援」「個人資料読解支援」の4因子が抽出された。また,基準関連妥当性が確認され,尺度の信頼性が確認された。
追加の分析では,情動の支援が認知的支援に影響を与えていることや,協同学習の指導経験が長くなると,資料読解支援と協同思考支援の重要性に気が付き,そこに意識が向かう可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は,「児童生徒の自己決定を促す協同学習指導行動一覧の試作と評価」を目標としていた。この点で,2度の調査を実施し,指導行動の尺度開発にまで至ったのは当初の予定以上の成果だった。
ただし,その教師の指導行動が実際に児童生徒の自己決定を促しているかどうかについては,児童生徒を対象とした調査が困難だったため,実施していない。これについては,22年度以降の課題とする予定である。
また,コロナ禍により,協同学習の実践自体が停滞していること,ICT活用の進展の中で協同学習の実践形態も多様化柔軟化しつつあり,こうした事態への対応が遅れている。
このように,取り組めなかった部分や新たな対応を求められる面はあるが,教師の指導行動を基盤とした尺度開発まで至ったという点では,おおむね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

21年度に作成した「協同学習指導行動尺度」は教師の指導行動が,情動面については「個に対するポジティブ支援」と「ポジティブなピアコミュニケーションの支援」の2因子,認知面については「個人質問支援」「共同思考支援」「個人思考支援」「個人資料読解支援」の4因子にまとまった。22年度は,これを踏まえて,こうした指導行動によって児童生徒は6つの側面について支援されているという認識を持つことができているのかを確認するために,「生徒用協同学習定着度尺度」を作成する。また,こうした協同学習の定着を介して児童生徒の個人的-社会的資質や能力にどのような影響を及ぼしているのかを確認するために,個人的-社会的資質や能力を測定する「包括的生徒指導尺度」を作成する。
23年度には,21年度,22年度の成果をもとに,教師のどのような指導行動が児童生徒の認知的スキルや社会情動的スキルの獲得につながるのかを検討する予定である。

Causes of Carryover

コロナ禍に伴い,予定していた学会がオンライン化され,交通費宿泊費が不要になった。また,アンケート調査を紙ベースで行ってその入力をアルバイトに委託し謝金を支払う予定だったが,オンラインでアンケートを行ったことによって謝金の支払いが生じなかった。以上の2点が主な理由である。
今後の使用については,22年度はもともと不十分な予算であり,大学の研究費で不足分を補う予定であったので,使用することになる予定である。具体的には,今年度,所属学会が対面での実施が予定されているため,その交通費宿泊費として,昨年度訪問できなかった調査活動の中心である石巻市への交通費および宿泊費として使用する予定である。また,分析に使用するコンピュータを購入予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 到達度評価による自己評価を取り入れた協同学習が児童の自律的学習行動と学習効力感に及ぼす効果2022

    • Author(s)
      真田 穣人、栗原 慎二
    • Journal Title

      学習開発学研究

      Volume: 14 Pages: 123~129

    • DOI

      10.15027/52289

    • Open Access
  • [Journal Article] UDLを基軸にした授業改善による児童の変容に関する一考察 : 学習的適応感に着目して2022

    • Author(s)
      中林 浩子、栗原 慎二
    • Journal Title

      学習開発学研究

      Volume: 14 Pages: 75~83

    • DOI

      10.15027/52284

    • Open Access
  • [Presentation] MLA協同学習指導行動尺度の開発2021

    • Author(s)
      沖林洋平,中林浩子,栗原慎二
    • Organizer
      日本学校教育相談学会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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