2022 Fiscal Year Research-status Report
荒れる子どもを理解し受容する多様性を認める学級づくり
Project/Area Number |
21K02529
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
丹野 清彦 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (80761080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村末 勇介 琉球大学, 教育学研究科, 准教授 (10782344)
杉尾 幸司 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (20433089)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多様性 / ケア的アプローチ / 荒れる子ども / 学級づくり / 教師のバーンアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、荒れる子どもを理解し受容する多様性を認める学級づくりのための指導プログラム開発を目的に実施している。実施計画と昨年度の研究から、荒れる子どもの言動を受容し多様性を認めることができづらい背景を探ると、教師の受け止め方に差異があることが読み取れた。そこで、計画に沿って教師の意識と実践を、十分結び付けて分析する必要性から、具体的な教師の困り感の意識調査を行うとともに、状況を打開した実践、打破できなかった実践についての事例収集にも力を注ぎ補強した。 今年度の研究では、①具体的にどのようなことに困り感を感じているのか、アンケートを作成し意識調査を行う、②荒れる子どもと日常的に向き合う教師に寄り添い、実践プログラムを試行する、以上2点に重点を置いた。 教師の困り感についてはアンケートを作成し、600人にアンケートを取り482人の回答を得た。そこからどのような傾向にあるのが現在分析している。また、荒れる子どもに関わり、対応に苦慮した教師への聞き取り調査を行い、「子どもの荒れ」「受容」「多様性を認める」の観点から整理している。研究2年度は、研究協力校、協力教師との連携が深まり、教師が何に困り、立ち止まっているのかについて、まだ一面ではあるが、明らかになりつつある。定期的な子ども観察に加え担任と指導プログラムを試行し、変容を記録することができた成果である。特に、子どもが荒れる、反抗するという言動に対し、教師が「自分に反抗されている」と受け止め、「他の教師に比べて指導力がない」と考え、「子どもはそのような言動で何を表現しているのか」を理解しようとしなければ、負の連鎖を解決することはできないことが見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、荒れる子どもを理解し受容する多様性を認める学級づくりのための指導プログラム開発を目的に実施している。そのため、継続的に研究に協力してくれる教師や学校が必要である。連携においては複数校の教員と連携し、定期的に学校を訪ね、実践を確認し進めることができている。 また、連携が進んでいる成果から、学級づくりに困りを感じる教師が陥っている子どもとの状況について具体的に報告・相談を受けることで、教師の意識が明確にされ、理解が進んでいるだけでなく、次の手立てについても試行し、再び分析するというサイクルが確立しつつある。ただ、新型コロナ感染予防の立場から、感染状況が激しい時期においては、調査のための事例収集を見送ったため、わずかな遅れが生じているが、おおむね順調である。 他方、このような個別の実践を一般化するためには、広く他校の教師についても、どのような困り感を持つのか、意識調査を行う必要があると考え、アンケートを作成し、沖縄県内の多くの小学校に依頼し、協力を得て意識調査を行い、482名から回答を得ることができた。その結果を現在検討しているところであり、教師の意識と実践をどう結び付けて読み取るのか、分析を行うとともに、事例数の確保に努めており、順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、荒れる子どもを理解し受容する多様性を認める学級づくりのための指導プログラム開発を目的に実施しており、次の3点を中心に今後の研究を推進する計画である。 まずひとつは、継続的に研究に協力してくれる教師や学校を今後も訪ね、子どもと教師の観察・相談及び、指導プログラムの試行を実施する。また、試行したプログラムと子どもや教師の変容をもとに成果を整理し、プログラムとしての有効性を分析し開発を行う。 2つめは、具体的な手立てとしてのプログラム開発だけではなく、教師が子どもを受容し、多様性を認めるには、どのような要素が必要かについて考察し、プログラムづくりへと発展させる計画である。また、教員不足が叫ばれる中、この成果は教師支援としての面からも教師に方法やアイデアを与えるものだと思われる。 最後には、2年次に行ったアンケート調査をもとに、連携している教師だけでなく、一般の教師はどのような意識を持って働き、困っているのか。意識を分析し明らかにしながら、荒れる子どもの背景をどう読み取り理解するのか。教師が受容し多様性を認めるとは具体的にどう受け止め、対応することなのか。まわりの子どもたちへの対応・指導法を含めて汎用的なプログラムづくりを推進する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染予防の立場から、事例収集のための聞き取り、授業観察を見送った経緯や、学会や離島への調査等も時期によっては配慮して他の方法をとったこともあり、経費の支出が予定より少なく予算の執行が行われ、使用額の差が生じている。 しかし、感染予防対策等の対応の変化により、今後は、以前よりは調査活動を活発に行えそうであり、それに伴い旅費や必要な物品も予定通り支出する見通しも立ち、使用計画の遂行が可能になると考えている。
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Research Products
(6 results)